ほろ苦さ甘さ酸っぱさのバランス

 

 

 

 

髪を揺らし、廊下を歩いていた少女がふと歩みを止める。

辺りを見まわしているところからして、人を探しているようだ。

 

「仕方ない、また後にするか…。」

 

肩をふっと落として、また歩き出そうとする。

 

「何してんの?先輩」

「あ、越前ー。ちょうど良かった。海堂どこ行ったか知らない?」

「知らないっす。乾先輩なら知ってるんじゃないっすか?」

「こういう時に限って見つからないのよ。乾先輩、意外と行動素早いから。

 あーもう、海堂の奴っ。ハクション大魔王みたいに来ないかなー。来ても怖いけど。

 あ、魔王は不二先輩だった。」

 

と、不二がいれば色々恐ろしい事をズバッという

 

「…先輩ってさ、どうして海堂先輩がそんなに好きなの?」

 

越前が尋ねると、はにやりと笑って、

 

「野暮なコト聞くなってー。かっこいいし、優しいし、真面目だし。ちとぶっきらぼうは

 目をつぶるとしてもよ?ナイスガイじゃん。今時珍しい感じの。」

「(ナイスガイ…久々に聞いたし)ふーん。」

「なによ、その何かひっかかるよーな言いぶり。」

「別に。ただ、ホントに海堂先輩一筋だなって。」

「おうっ!あったりきよぅ☆あ、じゃ私そろそろ行くわ。サンキューね越前。」

 

また探す気を取り戻したらしいを見送ってから、越前は後ろの階段に向かって、

 

「愛されてますね、先輩。」

「…(ふしゅー)。」

 

階段の裏に隠れていた海堂。

 

「何で逢いに行かないんスか?」

「てめぇには関係ねぇ。」

「そっスか。別に俺はどうでもいいんスけど。」

 

すたすた、と2〜3歩歩いたところで立ち止まって、越前は海堂を振り返る。

 

「海堂先輩。

 

 

 

 

 まだまだだね。」

 

去ってゆく越前を見送ってから、

 

「ちっ…。」

 

迷う事無く彼が向かった先は、屋上だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもう、どこ行っちゃったのよぅ、マムシ!」

「誰がマムシだ」

 

不機嫌丸出しで背後に立っていた海堂。

 

「あっ!マムシって呼んだら来た!君の合図はくしゃみじゃなくて『マムシ』なのねー!」

「やめろ!」

「照れんなって、薫ちゃん。」

「名前で呼ぶな」

「注文多いなあ。いいじゃん、薫って名前。私、好きだよ。」

「…。」

「あ、勿論海堂自身も好きだよ?」

「…用は何だ。」

 

のペースにいい加減疲れた海堂はそう切り出した。

 

「あ、はいはい。えとね、海堂。今日は何日か分かりますか?」

「二月、十四日」

「大当たりっ!でこの日はななんと!青春時代真っ只中の少年少女にとっちゃ一大

 イベントのバレンタインデーな訳です!」

「…。」

「でね、私はそういうのを徹底的に楽しみたいわけ。だからね、海堂。今日だけで

 いいから、名前で呼ばせて?」

「嫌だ。」

「そっ、そんな即答しなくても!だって恋人同士なら名前or愛称で呼びあうってのが

 通説なの!」

「いつそんな通説が…。」

「薫。」

 

ふいに真剣な声で海堂を呼ぶ

 

「私はね、薫に逢えて、薫を好きになって本当に良かったと思ってるのよ。だからね、

 私はすべてにお礼を言いたいの。私を薫と出会わせてくれたすべてに。」

。」

。私は、。名前って、私の十四年を表すものだから。お願いよ。

 

 

 私を呼んで?薫。」

 

 

「…。」

 

名を呼ばれると、は満足そうに微笑んで、包みを渡した。

ずいぶん大きな包みで、振るとゴトゴトと音がする。

 

「バレンタインって、ハッピーをつけるものなのかな?」

「さあな。」

「まあいいや。私は幸せだから。ハッピーバレンタイン、薫。」

 

包みの中に入っていたのは、バンダナ、チョコレート、そして…

ローマ字で「薫」、と書かれたテニスシューズだった。

 

「薫に合うようなシューズ探すの、大変だったんだよ?でもこれならスゴイ使いやすいと

 思うんだ。乾先輩もお墨つきだし。」

「……。」

「ん?何?」

 

 

 

 

 

「サンキュ。」

 

 

 

 

 

本当に小さな声で、少しでも強い風の音なら掻き消えてしまいそうな音。

けれど、その日は快晴。

風のない、穏やかな一日だった……。

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

難しいんだよぅ、海堂ー!!海DOー!!バレンタインだからこんな物を書いてみた。

中2は繊細なお年頃なのよ!!そんなお年頃をがさつなあたいは書けへんえー!!

…そんな感じ。ようは駄作と。第三者視点でドリムが書けなくなってきた…。

普通の小説なら第3者でOKなのになぁ…うーん、謎。しかし海堂は選択制のドリ

抜かして初のドリなのに…。うーん…うーんうーんうーん…頑張ろう。

 2003・2・10 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

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