今日の体育は男女混合バスケット。

「よおーっし、行けー！！」

「決めてやれー、―！」

仲間からの声援が飛ぶ。敵のガードをかいくぐった味方のが、

「お願い、！」

「まっかせといて☆」

パスを受けた私はにそう叫んで、ゴールへとダッシュする。

あまり高くない身長を生かし、敵の下をくぐり抜け、一気に攻める。

身長の大きな人がブロックに入ったけど、もう遅い。

私の手から放たれたボールは綺麗な弧を描く。

シュパっ、と小気味いい音を立ててゴールネットを揺らした。

「ナイス、！」

が私の肩をポンっと叩く。

「えへへっ、伊達にバスケ部でしごかれてませんから♪あ、私これで交代だから、

　後は頼んだよー。」

に手を振って、どこかに座ろうかと目を配ったとき、ふと見えた一人。

ひどくつまらなそうに柱に寄りかかる一人の男の子。

「随分退屈そうだね、リョーマ君？」

「…何か用？」

「そういうわけじゃないんだけど。バスケ、嫌い？」

「別に。」

ぶっきらぼうで生意気って言うのは知ってるけど、ここまで反応が無いとは。

別に、本人悪気があるわけじゃないし、いいんだけど。

「バスケも楽しいよ？まあ、テニスには劣るかもだけどさ。」

「…楽しそうにやるよね、。」

「でしょ。今はバスケ第一。バスケが好きだもん。」

「ふーん、にしては下手くそだね。」

「んなっ！悪かったわね！」

「別に、いいんじゃない？…それが好きなら。」

妙に大人びているその言い方と、瞳。

一瞬、他のものが目に入らなくなる強さに、ドキッとする。

「ー。」

「何か呼んでるけど？」

まさに、はっと我に返る瞬間。

言われて振りかえると、が息を切らしながら、

「ごめん、交代してくんない！？がいないとヤバイの、お願い！」

頼まれると断れない性質の私。

思わず、承諾する。まあ、そんなに疲れてないし、いいんだけど。

点差は５点。巻き返せない点じゃない。

でも、ここで一つ厄介な事が起こる。

「敵チーム、越前入れやがった！」

「やべぇ！２人ぐらいでマークしろ！！」

リョーマ君が運動神経抜群なのを知っているみんなが警戒し始める。

私も多少気を配りつつ、敵ゴール下に回る。

うーん、やっぱり動きが軽快だね。何部に入ってもやってけそうだな、リョーマ君。

…っと、見とれてる場合じゃなかった。

自分も最大マークをされてたんですね。

「うぎゃぁっ！！」

およそ女の子らしくない悲鳴を上げて、その場にひっくり返る。

ちょっと体格のいい男子に当身を食らって、無様に倒れる。

審判が笛を鳴らして、ファールを取る。

「平気！？！」

「あはは…大丈夫だって。」

そう言って立ちあがろうとした瞬間。

「っ！！！！！」

左手に走った雷のような痛み。

「どうかした？」

「え？あ、ははは。なんでもないよー。」

ヤバ…完璧やっちゃった。この痛みは突き指っぽいなぁ。

多分こけた時の体勢が悪かった…かな。

何でもない振りをして試合に参加しようとすると、いきなり腕を掴まれる。

「！！」

「先生、保健室まで連れてきます。」

「え？ああ…構わないが。」

ぐいぐいと私の手を引いて保健室まで強制連行したのは、他でもないリョーマ君だった。

「保健の先生、いないみたいだから俺の手当てで我慢しなよ。」

リョーマ君が私の指に手際よく処置をしていく。

「だいたい、バスケ部員のくせに、突き指してて試合に出ようなんて何考えてんの？

　バスケすんのに突き指してたんじゃヤバイくらい普通に分かるじゃん。」

う…。それを言われると痛い…。

「ま、の事だから、自分が頑張ろうって気負ってたんだろうけど。」

「え？」

それって…。

治療の終わった手を見て、私は考え込む。

「なにぼーっとしてんの？まだ授業終わってないんだから、体育館戻るよ。」

「あっ、ちょっと待って！」

「何？」

思わず呼びとめたけど、どうしていいか分からなくて少し黙り込む。

「あ、お礼は高くつくから。」

「えっ！？私、今日お金持ってきてないんだけど！」

奢れとか言われても無理だよ、と言うと、

「じゃ、これでいいや。」

そっと、風が通リぬけたくらいの時間。

優しい暖かさが触れる。

「何してんの、行くよ。」

「え？あ。…うん。」

抜け殻みたいになった私に、リョーマ君は

「ぼーっとするのは、俺に見蕩れるときぐらいにしなよ。」

耳元でそう囁く。

「！！」

「そうでないと、俺が安心できないし。」

何でもない事のようにそう言いのけて、リョーマ君はさっさと体育館へ向かおうとする。

私は慌ててリョーマ君の腕を掴んで、

「じゃあ、ぼーっとする暇もないくらい、リョーマ君が私を惹きつけててよ。」

一瞬驚いたように瞳を見開いて、その後、彼らしい挑戦的な笑みで、

「もちろん。」

ボールの弾む音が聞こえる。

それは体育館からもだけど。

自分のすぐ近くで。

自分の中で、大きな音を立てている。

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後足掻き

記憶を頼りに書いて行ったんですけど…長くなってる！？確か前書いたときはワードの

ページで６ページ前後だったと思うんですが…。えー…多分書き方とか色々変わったん

ねえ！？（１人今更な愚痴をこぼす。）感想、苦情待ってます。はい。

　２００３・１２・１４　月堂　亜泉　捧