庭球的協調論の応用と実践

 

 

「今日、コートに桜の花弁が落ちてたの、知ってる?」

 

 

「ああ。」

 

 

 

「もう、最後の春なんだね。」

 

 

 

「そうだな。」

 

 

 

 

「今年の1年は、どんな子が入ってくるんだろうね?新二年は、桃ちゃんと海堂くんが

 レギュラーになったけど。…ま、今年はまだ安泰だよね。」

「安泰?」

「ん。安泰。だって国光を筆頭に、不二も菊ちゃんと大石やタカさんや乾だっている

 んだもん。ね?」

 

  

 

「そうかもな。」

 

 

 

「ちょっとペア不足なのは否めないけどさ。」

「ペアは竜崎先生とも相談はしている。だが、相性が問題だ。ウチの部員は個性が強くて、

 協調性に欠ける。」

「まあ、ランキング戦とかにも見られるけどね。お互いにお互いをライバルとして強く

 なってきたから、仕方ないんだろうけど。」

「確かにな。物事は良し悪しがつきものだからな。」

 

 

 

「桃ちゃんと海堂君とかじゃホントにダブルスになりそうにないものね。仲間割れ

 しちゃって、審判から警告受けそうだもん。」

「二人は競争心の塊で、それを糧に強くなった。仕方ないだろう。」

「だね。不二とタカさんとこも、結局はシングルス向きの二人だし。菊ちゃんと大石

 くらいだよねぇ、ホントに。…で、国光は?」

「ん?」

 

「組む気はないの?乾とかと。乾と組んだら最強だよね…。」

 

 

 

 

「俺は、ダブルスには向かない。」

「うわ、断言したよ。纏め役の部長が。」

「部をまとめる事は出来ても、ダブルスには向かないんだ。」

  

「…ふーん。」

「なんだ、そのなにか言いたげな顔は。」

 

 

「別にぃ?」

 

「なにかいいたいなら言え。」

「また高圧的だねぇ。」

 

「すまん、俺のくせだ。」

 

 

 

 

 

 

 

「国光は、何と争ってるの?」

「…?」

 

 

 

「国光は、何と戦って強くなっているの?」

「どういう事だ?」

 

 

 

「まんまの意味。」

 

 

 

 

「努力のおかげだろうな。」

 

 

 

「…ふーん…。」

「まだ不服なのか?」

 

 

 

 

「手当てさえ抗って、傷ついた翼で飛ぼうとしている鳥。」

 

「…?」 

 

 

「私は、国光に何があったのか知ってる。

 国光の疵も、知ってる。」

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

「国光は、自分と戦ってる。

 自分一人で、自分と戦ってる。」

 

  

 

「そうかもな。」

 

 

 

 

「それじゃダメなんだってば。」

「駄目?」

 

 

 

 

  

 

「ペアには、頼っていいんだよ?

 精神的にも。」

 

 

「ペア?」

 

 

 

 

「私。」

 

 

 

 

「……そう、か。」

「私とダブルスは嫌なの?国光は。」

 

 

 

「そうじゃない…。」

 

 

 

 

「飛べないなら、歩けばいい…。

 助走をつけて、いつか踏みきればいい。」

 

  

 

「ああ……。」

「OK?」

 

「……少し、肩を借りるぞ、…。」

 

「うん。」

 

 

 

 

「……ありがとう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

まーたやった、またやった。まーたもややってもた。(「いーけないんだ」の曲のリズムで。)

抽象的シリーズ(?)。今回はト書き(って言うのか…?)を端折ってます。この書き方

実は凄く好きだったり。言わないと伝わらない事はあるけど、言っても伝わりにくい事

あるから。その人の生の言葉は、どんな形容詞にも変え難いと。にしても、読み返すと

やっぱ駄目文…。ふー…(溜息)

 

 2003・2・5 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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