「亜紀人。」

 

彼の部屋に入って、そっと隣に座る。

 

そうすると、彼はにこっと笑って、私の名前を呼んで、そっと指を絡めてくる。

 

二つの手で 祈り を捧げているようなその仕草は、

 

 

私達にしかわからない    暗号      だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

dont exhausted

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日、咢は?」

 

そっと相手の方を見て、穏やかな色の彼の   左目 を見る。

 

 

その後、白い眼帯に隠された  右目 を見る。

 

 

 

見るというのは語弊があるかもしれないけれど。

 

 

 

 

 

 

「うん…眠っているみたい。」

「そうなんだ。」

 

 

小さく呟くと、亜紀人が隣でくすりと笑う。

 

 

「寂しそうだね。」と、彼は相変わらずの優しい声で語りかける。

 

頭を振ってみるものの、次の瞬間にはため息が出ていた。

 

 

 

 

「咢、一人で抱え込むからさ。」

「うん。…でも…。」

 

 

 

『それが俺の役目だ』

 

 

 

「えっ、咢、起きてたの??」

 

『オメーらがごちゃごちゃ煩いおかげで目が覚めたんだよ、タコ。』

 

「亜紀人?咢、起きたの?」

「うん…代わる?」

「…お願い。」

 

 

 

コクリと頷くと、亜紀人はゆっくりと眼帯に手をやり、

今まで 開いていた  左目を隠す。

 

 

 

 

閉じられていた右目   がゆっくりと開く。

 

 

獰猛なくせにどこか優しい、鮫の瞳が。

 

 

 

 

 

 

 

「あんだよ、クソアマ。大した用で呼び出したんじゃねぇなら潰すぞ。」

「咢にとっては大した用じゃないけど。」

「…ああ?」

 

私がくすりと笑うと、不機嫌そうに瞳を眇めてくる。

むしろこれが普通だから、もう私は怯えない。

 

 

私は亜紀人にするように、相手の手を取り、指を絡める。

 

 

 

 

「おい、何しやがる…ッ!」

「いいから。ちょっとの間だけだから…。」

 

 

 

 

囁くような声で十分。

 

 

この、血溜まりを泳いできた鮫は、賢いから分かるんだ。

 

 

誰が 敵で、 何が 確かか。

 

 

 

 

 

そして、賢いからこそ、     思い詰めてしまった。

 

 

 

 

 

「貴方が、亜紀人の身代わりになるなんて、寂しい事言わないで…。」

「…ああ?」

「私の中は、亜紀人だって、咢だって居るんだから。今更、咢が消えるだなんて…嫌だよ。」

「それが…。」

 

 

 

俺の役目だ、って言いたいんでしょ?

 

分かってるよそんな事。

 

 

 

 

 

でも私は嫌なの。

嫌なの。

 

 

 

 

 

 

 

咢が好きだから。

 

 

消えて欲しくないから…。

 

 

 

 

貴方は、ずっと亜紀人と共に居なきゃならない。

 

 

 

 

 

 

「亜紀人の役目は、それだけじゃないもん。」

「…言ってみろや。」

「小烏丸の、戦闘担当大元帥…。」

 

 

無理やりこじつけて言ってみる。

 

 

 

 

 

違う、

 

 

違う、

 

 

 

 

 

 

違う。

 

 

 

 

 

 

言いたいのはそんな事じゃないのに。

 

 

「ハッ、知るかよ、あんなミソっかすのクソども。王璽をアイツから取り返して、

 亜紀人に渡して、それで俺はENDだ。」

「役目は一個じゃない。」

 

 

 

絡めた指に少し力を込めて、私は言う。

 

 

 

 

「私の為に、消えて無くならないで。」

 

 

 

 

 

彼が消えて無くならないための   祈り。

 

 

亜紀人と二人で考えた   暗号。

 

 

 

 

 

貴方が大切だから、大好きだから。

私の傍に、ずっと居て………。

 

 

 

 

 

 

 

「くっだらねぇ…だが、もう少し付き合ってやんよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

ひゃほーい!何かエアギアはちょっと抽象的に攻めたいかんじ。特に亜紀人&咢は。

つか、軽いネタバレ多いっすね。亜紀人&咢は凄く好き…なんですが、実はマイランクで

一位じゃなかったり。一位はトンちゃんの回想に出てきた昔の折原先生です(笑)

今の折原センセも好きだけど、不精ひげが何とも…。ひげ苦手っす〜…。

むしろ髪の毛と眉毛と睫以外の毛は無くてもいいくらいです。(笑)だから少年&青年好き

なのかも知れない…。ムダ毛好きの人(!?)すまぬです。

 

 2004・7・21 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

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