今日は生徒会選挙があり、開票のための短縮授業だったため、いつもより早く寮に帰り

自分の部屋でゆっくりしていたとき。不意にノック音が響く。

 

急いでドアを開ける。

 

「…どうしてアナタが来るんです?」

「来ちゃまずかった?」

 

微笑みながら戸口に立つ人物を見て、僕は脱力感を感じる。

 

「別に…まずくはないですけどね。今日は練習もありませんから。」

「じゃあ、お邪魔するね。」

 

早速、と言った感じで靴を脱ぐ相手を苦笑して見る。

 

「って…僕はまだいいって言っていませんよ?」

「いいって言ってないけど、意味をそう取れたから。」

 

そう…邪気なさそうな笑顔でやってくるアナタの、本心が掴めない。

 

いや…。

 

真実を知りたくない。

 

 

 

今はこの微妙なバランスを保つ関係が、ちょうど良くて、心地いいのだから。

 

 

 

 

 








 

EXPLAIN IS RELATION

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつ来ても殺風景だね、この部屋って。」

 

クスクスと笑いながら僕の入れた紅茶を飲む。

 

「余分なものを置く必要性が僕には分かりません。」

 

無駄なものはとことん省く。

 

そんな性格によって、インテリアらしいインテリアが僕の部屋には皆無だ。

 

「ふうん?僕の部屋には窓辺に可愛いペットがいるよ。」

「サボテンはペットとは呼びませんよ?」

 

僕は相手と向かい合わせに座り、紅茶の香りを楽しむ。

相手の事くらい、イヤというほど分かってる。

 

 

 

…本意以外は。

 

 

 

「ペットだよ。サボテンって人の言葉を分かってるんだって、聞いたことあるでしょ?」

「ええ。まあそれくらいは。」

「最近面白いので、電磁波吸収するサボテンってあるらしいよ?

 でも、何だか吸収してたらそのうち枯れちゃいそうで可哀想な気がするんだよね。」

「それ専用に開発されたなら、そんな事もないでしょう?」

 

お茶菓子として紅茶と一緒に出したクッキーをつまみつつ、答えを聞いて微笑む相手。

不思議そうな瞳で見つめると、

 

「君だったら好きでしょ?そういうの…自分の為に尽くしてくれる、駒。」

 

そんな皮肉と共に不敵な笑みを返してくる。

 

「…ええ、好きですね。」

「ふふ、だろうと思った。」

 

ため息をつきたいところだが、それは紅茶と一緒に飲み込んだ。

 

 

 

「…にしても、毎度毎度、何故僕のところに来るんですか。」

「え?面白いから。」

「僕は面白くありませんよ。」

 

 

よりによって、変な関係も出来たものだ。

 

 

僕らはお互いを嫌っているはずだったのに、

いつのまにかこうして共にお茶を飲み過ごすようになった。

 

 

…人付き合いと言うものは、不思議なものだとつくづく思う。

 

 

まぁ、別に本人の全てを毛嫌いしているわけではないのだから、

何かしら通ずるところがあってもおかしくないのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「…何一人で考え込んでるの?」

 

ふと気付くと目の前に相手の顔。

気配に全く気付かなかった自分を恥じつつ、慌ててしまう。

 

「なっ、驚かせないで下さいっ!」

「ふふ、勝手に驚いているのはそっちだけど?」

「当たり前でしょう、突然顔を近づけられたら誰だって………っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…時が、大きく音を立てた、静寂の瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…今日は、こんなトコで帰ろうかな。じゃあね?紅茶、ご馳走様。」

 

いつも通りの笑みを浮かべて去る相手を呆然と見送った後、

ずるりと力が抜ける。

 

「……何だって言うんです…。」

 

誰に向けたのかももはや分からない呟きを、一人部屋に響かせる。

 

 

そして、相手からの贈り物を見つけるのは、カップを片付けた後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観月へ。

 HAPPY BIRTHDAY…素敵な1日を。

                   不二 周助より。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日から、小さなサボテンが、僕の部屋の窓際に置かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

観月の誕生日に不二観を書き始めた私は、もう既に終わりだと思いました。

不二と観月ちゃんに怒られる…ってか、絶対殺られますヨ、私。(ガタガタ)

しかも絶対まともなやられ方じゃない。呪いとかでこう…じわじわと、みたいな。

でも書いて分かったけど…めっちゃ書きやすい!!!!!!不二は私なんで(笑)

勿論の事。観月もあれだけ作品書いてりゃこなれるってもんです。

多少オシャレなCPを目指した…つもり。題名の意味は、「関係を説明しなさい。」

…無理でしょうね、特にこの観月ちゃんには。ああ、この作品の不二になりたい(爆)

 2004・5・27 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

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