私はカメラが嫌い

何でかなんて関係ない。

 

 

とにかくやなもんはヤなの!

 

 

 

ファインダー越しの笑顔

 

 

 

「い゛や゛ーっ!来るなーっ!」

私は、 

現在青学3年花の(?)女子中学生は、ただ今脱兎のごとく逃げ回っています!!

なぜならすべてはこの男のせいなのです!!!!!!

 

「だから大丈夫だってば。魂吸い取られるなんて事ないから。」

 

あんたのカメラじゃ有り得そうで恐ろしいっての!

この、不二周助という青学3年テニス部所属の男は、毎日のように私を追いかけ、

写真に収めようとする。

フォトグラフが好きだなんて私には考えられないわ!

 

「だいたい、テニス部の方はどうしたのよっ!」

「大丈夫、うちは昼の練習、自由だから。」

「練習して来い!!」

 

でも不二は、青学NO.2の強さらしいのよね。

どんなに努力してもNO.1の部長さんには勝てないらしい。

何でなんだろ??

 

ああっ、てゆーかそんなこと考えてる場合ぢゃないっ!

 

「いい加減諦めてよーっ!!むしろもう死ね!」

「僕はを撮るまでは絶対死なないよっ。」

「ぎゃーっ!ふざけんな!とっとと失せろ変態!」

「酷いなあ、何も変な写真取るわけじゃないって。ただちゃんとを撮りたいだけ

 なんだってば。」

「何度言わせたら分かるんだっての!!私は写真に写るのが嫌いなの!!!!!!」

 

販売機の前にいる人の波をすり抜けて、人通りの激しい渡り廊下を、

人の間を縫って走り抜け、教室へ駆け込んだところへ、

 

 

キーンコーンカーンコーン…。

 

 

ふー、今日の昼休みも何とか切り抜けたわ。

 

「おつかれさま、。」

 

親友のが苦笑をしつつそう呼び掛けてきた。

は可愛くて大人しい文学少女。がさつで男勝りな私とは正反対だから

皆から凸凹コンビって呼ばれるけど。

それにしても、苦笑いをしていても顔が崩れない顔立ちっていいよねぇ。

不二も私なんか撮ろうと思わないでみたいな子を撮ればいいのにね。

 

「ういっす、。昼も何とか逃げ切ったわ。」

「毎日毎日よくやるねぇ。」

「ホントに。いい加減諦めて欲しいわ。」

「一枚くらい撮らせてあげれば?そしたら諦めてくれるかも…。」

「ヤダっ!ってゆうかあいつが一枚きりで諦めるとはどうにも考えられない!」

「…大変だね。」

「ホント。でも今日は雨でしょ?部活ないから、部活前と後の二回に分けて追われる

 ことはないわ☆」

「はあ…。」

 

ホントに毎日毎日辛いんだよねぇ…。

帰宅部なのに尋常じゃなく日々の運動量が多いわ。

毎日ああいう事を繰り返しているから生徒はもちろん、先生にまで知られてるし。

もー…ホント大迷惑。

あ、そう言えば今日は印刷室に用事があるから、さっさと済ませて帰ろっと。

さっと取ってさっと帰れば、不二にも気付かれないだろうし…。

だいたい、印刷室なんて来ないだろうし。

 

―――そう思った自分の考えが甘かったのに、その時の私は気付かなかったんだけど。

 

 

 

 

 

「よっし、不二にバレずにここまできたわ。」

 

一人そう言ってから、鞄の中の本を取り出す。

実はこれ、貸出禁止の図書室の本。でもどうしても欲しいページがあって。

えと、…何ページだったっけ。

あ、あったあった

印刷機のふたを開けた瞬間、

 

「ん?」

 

何か今、外に人影があったような…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不二!?

 

傘もささずに何やってんだあいつは!

 

 

「あ、。」

 

ぎゃあっ!見つかった!

体が反射的に逃げの体制を取る。

でも逃げるところもないから慌ててしゃがむ。

 

「逃げないでよ。今は撮らないからさ。ね?もし撮ったら一万円払うから。」

「嘘くさい。」

「ひどいなあ。ホントだって。信じてよ。」

「…。」

 

私は渋々、と言った感じに顔を見せた。

不二はずぶ濡れで、色素の薄い髪がぺたりとしていた。

 

「久し振りに、顔が見れた…。」

 

っ…!

一瞬こいつを、不覚にも「カッコイイ」と思ってしまったよ!!

こいつは私を撮ろうとするヤなやつなのに!

でもまあ確かに顔はイイし?女子がキャーキャー騒ぐのも分からなくはないけど。

まとにかく、be cool。

 

「ところで、あんたは今何してたのよ。雨の中傘もささないで。」

「写真撮ってたんだ。」

「カメラ濡れちゃうじゃんっ。」

「大丈夫だよ。防水カバーかけてるから。」

 

そこまでするか…。

ホントに写真が好きなんだね。

私には理解しがたいけど。

 

「あんたも、風邪ひいちゃうじゃん。何で傘ささないのさ。」

「傘さしてたら上手く撮れないからね。…僕のこと、心配してくれてるんだ?」

「ばっ…何いってんのよ!」

「ふふ…冗談冗談。」

 

こいつ…ヤなやつだ。やっぱ。

でも、ちょっとだけ不思議に思った。

 

「…あんた、何でそんなにカメラが好きなの?」

 

「うん…そうだなあ。

 瞬間、を撮っておけるって凄いことじゃない?

 人の記憶、対象となるものも、一瞬の姿はすぐに風化してしまう。

 でも写真はその一瞬を鮮明に残す。

 そんな一瞬の美しさを撮ることが、何より楽しいんだ。」

 

「へぇ…結構いいこと言うじゃん。ちょっとだけ見直したよ。」

 

ただの変態カメラ小僧じゃなかったんだね。

何となく、顔が綻ぶ。

 

 

 

カシャ。

 

 

 

私の嫌いなシャッター音が……!!!!!!!!!!

 

「あんた、今…!!!」

「ふふ…のとびきりの笑顔いただき。」

「なっ、何て事すんのよ!写真は撮らないって約束したのに!一万払いなよ!」

「うん、いいよ。今すぐ払ってあげる。」

 

金持ちの余裕か!?とか思ったら、

 

 

不二の顔が急接近してきて。

 

「!!!」

 

 

 

 

 

雨に濡れた不二の唇は冷たくて。

 

 

 

そっと、でも大胆に侵入する舌は、温かくて。

 

 

 

 

印刷機が印刷終了の機械音を鳴らしたけれど、

 

 

 

それは私の耳を右から左へ通過して行くだけで。

 

 

 

 

 

 

 

なぜか振り払えずに、長く感じたその数秒間、私は固まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

不二の第一声は、

「…“一万円分”のキスにはまだまだほど遠いなあ。もう一回する?」

 

その声ではたと正気に戻る私。

 

「何すんのよ!私ファーストなのに!」

 

顔熱っ!!ハズカシー!!

不二はいつもの通り余裕の笑みで。

 

「うん。僕もだよ。ファーストキスはにって決めてたから。」

「はあ!?!?」

の事好きだから。」

「……………本気で?」

「うん。でなきゃキスなんてしないよ。

 僕がを撮りたかったのだって、僕がの写真を常に持ってたいなぁ、って思っての事だし。

 …信じられない?」

「…なんか、唐突すぎて、頭ぐちゃぐちゃ…。」

 

今までずっと私を追っかけまわしてた理由は、それだったのか。

そう分かった途端、何だか気が抜けた…って言うか…。

だから、不二が好きとか嫌いとか、まだそこまで頭がついていってなくて。

 

不二は、「気長に待ってる」って言った。

…でも、悪い気がした。

 

「不二…多分、私も、不二の事が好きなんだと思う…。

 写真撮られるのは好きじゃないけど、写真を撮ってる不二の姿見るの、

 嫌いじゃないみたいだし…それに。」

 

 

だって。

 

 

今さっきまで私が印刷していた本のコピー。

 

 

見せたら、不二はちょっと笑って。

 

らしい、告白でうれしいよ。」

 

 

 

私がコピーしたのは、

 

 

レトロなカメラを大事そうに抱えて幸せそうに眠る、少年の写真だった。

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

変態不二さん。でも、もっと変でも良かったかも。これは友人と馬鹿バナに花を咲かせ

てた時に考えついたもの。私も写真というものがどうも苦手です。多分自分の顔が

嫌だからでしょう。鏡で自分の顔を10分見てると酔います。(Nみたいな酔いではなく、

気持ち悪くなる方の…。)それにしても、

もう少しまともな文は書けないのだろうか…文才なさ過ぎ…。修行あるのみですね。

 2002・11・23 月堂 亜泉 捧

 

 

 

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