ヒマワリ

「またあの人、来てるよ。」

「ホントだ。」

他の部員達のそんな声が聞こえる。

あー…うるせえなぁ…。というのが本音。

「宍戸さん、宍戸さーん？」

「るっせえ、長太郎！お前まで俺の機嫌悪くしに来たのか！？」

「えっ、なっ、何でいきなり怒ってるんですか！？」

別に長太郎へ怒ってるわけじゃない。

そう、原因はあいつにある。

　。

部員でもないくせに、毎日部活へ顔を出しに来ては、ただ見て帰るだけ。

一時期、跡部を見に（どこがいいんだとか思うが）来ていた奴らは、跡部の一言

（放送コードに引っかかりそうな傲慢な台詞。）で消え失せたが、

あいつだけは未だに毎日来やがる。

「…てめえな…。」

「なによ。」

「うぜえ。」

「気にしすぎ。」

「（このクソアマ）…テニスは集中力が必要なスポーツなんだよ。」

「だったらこの部員数の方がよっぽどウザイと思うんですけど。」

言う事がいちいち癪に障る。

「いいじゃない、別に騒ぎ立てるわけじゃないし。他の部員の邪魔にならないような

　ところで見ているつもりだけど？この間なんか不憫に思ったらしい鳳君が椅子

　貸してくれたりしたよ？宍戸と違って心が広いねえ、彼は。」

悪かったな、心が狭くてよ。

「いいから帰れ。マジで。」

「いーやーでーすぅー。」

「ざけんな。」

何でこいつはこうも自己中なんだ。

人の気も知らねえで。

「宍戸、ヒマワリって知ってる？」

「お前、人を馬鹿にしてるだろ。」

「いや？」

「……。」

「ヒマワリってさ、漢字で書ける？」

ヒマワリ…？

あれはひらがなかカタカナじゃねえのか？

「知らないのか…。」

「悪かったな、馬鹿でよ。」

「いや、別に知らなくても問題ないんですがねー。私はヒマワリさんなのですよ。」

……。

「いたたたたっ！！髪の毛引っ張らないでよ、宍戸！！」

「…抜けねーな、花弁。」

「意地悪ぅぅいぃっ！！」

「秋になったらこの辺から種が取れんのか？」

「ふみゅっ！鼻が低くなったらどうすんのよー！！」

「知るか、ンなこと。」

俺はに背を向けて、コートへ戻ろうとすると、後ろからウエアを掴まれた。

いや、つままれたのほうが正しいか。

「何しやがる！」

「ちょっと待てっての。」

小さなフェンスの隙間から出ている指は細くて白くて、折れてしまいそうだった。

ふいに、その事を意識してしまう。

「ほら、コレあげるよ。」

「ん？」

差し出してきたのは、ミントガム。

「好きでしょ？美味しいんだよねー。私なんかガム中毒者だからさ、しょっちゅう

　食べてるもん。時々食べ過ぎて気持ち悪くなったりね。」

「バカか。」

「馬鹿とか言うな、せっかくあげたのに。」

「何も誰もくれなんて言ってねえよ。」

「じゃあ返せ。」

「もう貰ったから嫌だ。」

「ヒドッ！」

俺は包み紙をはがし、口へ放り込んだ。

清涼感のあるミント味が口の中に広がる。

と、向こうから長太郎がやってきた。

「先輩、羨ましいですね。」

「は？何言ってんだ。」

「何って先輩の事ですよ。彼女なんでしょう？」

「バカかお前！？ンなこと誰が決めたんだよ！」

「ええっ、だって皆そう思ってますよ。毎日宍戸さんの為だけに来るんですから。

　それに、ヒマワリの話、聞きました？」

「あー。さっきな。」

興味なさそうな俺の言い方に、長太郎が大きなため息をつく。

「ヒマワリは日に向かう葵…「向日葵」って書くそうなんですよ。」

日に向かう葵…。向日葵…。

「花言葉は、『貴方を見つめています』って。告白の常套句じゃないですか。」

「私はヒマワリさんなのですよ。」

…あいつ…本気か？

まさかな。また俺をからかってんだろう。

でも、変に胸がざわつく。

五月蝿い。

静まれ…五月蝿い。

「ん…。」

ガムを銀紙に包んで、さらに紙包みで包んで捨てようとした時。

「…バカか、あいつは。」

俺は紙をポケットに突っ込んで、すたすたとの元へ向かった。

大切な言葉を言いに。

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後足掻き

うわー！！名前変換がない！！！！！！！！！（汗）まずいっすねー。つかとにかく

キャラが掴めてないよう…（泣）チャレンジャー月堂（無謀すぎ）

もう…早めに立ち去ります…苦情大歓迎（爆）

　２００３・４・１　月堂　亜泉　捧