「あーっ!見て見てガックン!一番星!」

 

 

 

群青色の空にひと足早く顔を出したその星を指差し、私は叫んだ。

 

 

 

「おーホントだ。なんか低くねぇ?」

「ねー。手が届きそうだよね。」

 

 

 

ガックンの言うとおり、その星はかなり低いところにある。

本当につかめる訳が無いのをわかってはいるけど、思わず手を伸ばしてみたくなる距離だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星を食べた日 ★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星を眺めながら、昔、理科の授業で先生が言ってたことを思い出す。

 

 

『お前らの見てる星の中にはもう存在しないのもあるんだぞ。』

 

 

先生は、ロマンだよなぁ…とうっとりしながら話して下さった。

それはともかく、これには光の届く速さが関係してるらしい。

詳しい事はよく覚えてないけど、それを聞いてからは星を見るといつも考えてしまう。

 

あの星はまだ宇宙にあるんだろうか?

もしかしたらもう消えて無くなっちゃったんじゃないか?と。

 

 

今見ているあの星はどっちなんだろう。

 

 

私は天文学者でもなんでもないから、それを確かめる術を持たない。

いっそ、星が手を伸ばしてつかめるものだったらならスグ分かるのに。

 

そんな思考から次の台詞が出た。

 

 

 

「ガックン、あの星取れない?」

「はぁ〜?」

 

 

 

毎度の事ながら突拍子の無い私の言動に、ガックンは呆れたような声を出す。

 

 

 

「こう、ピョピョ〜ン!と跳んでさ。」

「無理だし。ってーか、俺そんなに跳べねーよ!」

「えー?いけるって!ほら!跳んでミソ!」

「ばーか。俺の台詞盗んなっつの。」

 

 

言いながらガックンは私の頭をぺしっと叩く。

 

 

「いたい。」

がアホなこと言うからだろ?」

 

 

全然痛くなんて無かったけど、抗議してみた。

 

だって、君の手が触れた場所が熱いような気がしたから。

 

 

馬鹿なことを言いながらも、私達はずっと笑顔で、二人でいることが嬉しかった。

付き合っているとはいえ、ガックンは部活でいつも遅いから一緒に帰れることは稀である。

たまたま今日は、私が委員会で遅くなったのだった。

 

いつもは一人で帰る道も、ガックンと一緒だと全然違う気がするのは不思議だ。

この坂、こんなに短かったっけ?と今も思っている。

このまま行ったらスグに家に着いてしまう気がした。

 

 

 

「それにしてもあっちーな。俺、喉渇いたかも。」

「私もー。そだ!この先に駄菓子屋さんがあるの見つけたんだよ!ラムネでも買って飲まない?」

「ラムネかぁ…いいかも。行こうぜ!」

 

 

家のある道よりひとつ手前の角を曲がって、私達は駄菓子屋へと急いだ。

ラムネは逃げないけど、お店は閉まってしまうかもしれないから。

 

 

 

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

 

 

「おー、すっげー。」

 

 

お店に入った途端ガックンは感嘆の声をあげた。

最初来た時、私もそうだったから同じ様な行動に思わず笑ってしまう。

 

そのお店は本当に『昔ながらの駄菓子屋』という感じで、

棚の上にプラスチック容器に入ったお菓子がズラーっと並べられている。

近頃、しかも東京では結構珍しいかもしれない。

 

私達がラムネのことも忘れてお菓子を物色していると、店の奥から小柄なお婆さんが出てきた。

 

 

「いらっしゃい。おや?お嬢ちゃん、確か前にも来てくれてたねぇ。」

「あ、はい。こんばんは!」

「あっちにいるのは…もしかして彼氏さんかい?」

 

 

向こうで相変わらずお菓子の間をうろうろしているガックンを見てお婆さんが言った。

 

 

「そうです。」

「そうかい。可愛いカップルですこと。」

「あはは、ありがとうございます…えーと、ラムネ二本下さい。」

 

 

なんだか嬉しくて恥ずかしくて、ラムネを買ってごまかしてしまった。

 

 

 

☆★☆

 

 

 

 

「うわー、ガックンいっぱい買ったね。」

「しょーがねーじゃん。食いたいのありすぎなんだよ、あの店。」

「いいんじゃない?安いし。」

 

 

 

店を出た私達は、自分の買ったものをお互いに見せ合いながら歩いていた。

話しながら、私はラムネを一口飲む。

ガックンはどれから食べようか迷ってるみたいだ。

もう私は家に着いちゃうし、どうせなら分けて貰えるものにしてくれると嬉しい。

 

と、ガックンは紙袋から何かを取り出した。

そしてそのままこっちに放り投げる。

 

 

「やる!」

「え?……っと!」

 

 

放物線を描いて飛んできたソレをキャッチする。

見ると、それはコンペイトウのいっぱい詰まった袋だった。

 

 

 

「これ…。」

「星は取れねーからな。それで我慢しとけ。」

「………………。」

「……?――うおっ!?」

「あはは!ありがと!」

 

 

 

 

ガックンに抱きつきながらその袋を開けて、

ピンク色に色づいた星を1つ、口に放り入れる。

 

 

その星は、甘くてとてもおいしかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空に 星がたくさん キラキラと光っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END

 

 

 

 

 

 

 

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アトガキ

リクのあったミソです。跳んでません…()

可愛らしいカップルが書きたくてファンシ−なものを色々と出してみました。

保志さんの声が聞こえてくるようなミソになってれば良いんですけど。

ちなみに星の話は私が昔、本当に聞いた話です。

私もロマンだと思いますよ、先生…(ニヤリ)

 

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枉賀ちゃんから頂いたミソ子です!可愛い〜。萌え萌えです。

こういう可愛い文って書けないのでうらやましいっす。

リクドリありがとでした☆ 2003・6・25 月堂 亜泉

 

 

 

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