広い船内を、最近やっと迷わないようになった。

 

ここは、軍の本拠、船。

 

私は、不甲斐無い形でクールークに占領されてしまったラズリルに住んでいた。

でも、軍がラズリルを解放してくれたお礼に、

私の幼馴染、バジルが軍に参加する事になった。

 

それに一緒についてきただけで、はっきり言ってお荷物なのかもしれないんだけど…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HOW MUCH YOUR BET?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?バジル?」

いつも自慢の勝負ゴマで賭け勝負をしているサロンを覗いて見ても彼の姿はない。

部屋にも居なかったし……変だなぁ…。

 

「ねぇねぇ、ノアちゃん、リタちゃん。バジル知らない?」

 

同じくサロンによくいる女の子、ノアちゃんとリタちゃんに尋ねてみる。

すると、猫スタイルの可愛いノアちゃんが真剣な面持ちで、

 

「バジル君はねぇ、さんに20回負けたショックで船を…!!」

「ええぇっ!?」

 

そんなぁ、私に一言も言わないで船を下りるだなんて!

 

とか思ってると、隣から大仰なため息。

ポニーテールが可愛らしい大人びたリタちゃんが肩を竦めている。

 

「ノアちゃんてば、ウソついちゃダメでしょ?あのね、バジル君は甲板でコマの大会

 開いてるよ?トーナメント戦だとかで。」

「そうなの?だったら教えてくれればいいのに!バカバジル〜!」

 

 

 

 

 

「物凄い勢いだわ…。スカートなのに階段2段飛ばしで走ってっちゃった…。」

「あーあ。甲板に行かせちゃ面白くないのになー。…あ、でもある意味楽しそうかも。

 ノアも行こうっと♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

ビシィッ!

派手にコマが音を立てて弾き出される。

 

「はい、残念でした!俺の勝ち〜。」

「バジルッ!」

 

私は相手を見つけると大声で叫んだ。

 

「…!?何でココにっ!」

「何よぅ、コソコソとこんな所でコマしてっ!」

 

相手に近寄りがっしと肩を掴むと、思いっきりゆさゆさと揺さぶる。

バジルはがっくんがっくんと頭が揺れながらも

 

「どこがコソコソだよ!甲板なのに!」

「私に内緒でしてるじゃない!」

「〜〜とにかく、今は勝負の真っ最中なんだから、邪魔するなよっ。」

 

文句をぶつぶつと口の中で呟きながらも一応、私は座り込んで様子を見る。

 

ちょっと男の子にしては細身で、目がくりくりと大きい童顔で、軽く猫口気味。

性格もちょっと幼くて、負けず嫌いで無鉄砲。

 

昔からずっと変わらないところが…凄く安心する。

まだ、私の知ってるバジルなんだって。

 

 

私の…好きな彼の…まま。

 

 

 

 

 

 

「決勝戦、俺と、っ!」

 

呼ばれたが、バジルの元へ行く。

さっきノアちゃんが言っていたように、バジルがコマで負けるのはくらいなもの。

この勝負は当然だし、見物のカードだからみんなも注目してる。

 

互いのコマがほぼ同時に場に投げられて、速い回転をするコマの激しくぶつかり合う音が

妙な熱気を帯びた静寂の中に響く。

 

一つ目が倒れる直前にまたもう一つお互いのコマが投げられる。

手早く最後のコマの糸を巻きながら二人が勝負の様子を見守っている。

 

みんなも固唾を飲み、決着の瞬間を待っていた。

 

「バジル…。」

 

バジルの表情がいつになく真剣だった。

…見た事のない、真剣な表情で…。

 

 

 

 

 

 

 

ビシィッ!

 

 

 

私がバジルに見惚れていた間に、勝負は決していた。

 

 

 

 

 

台の上に転がっているコマは4つ。

 

もう一つ、コマ台の上でくるくると回っているのは青銅のコマ。

もう一つ、弾き出され、下に転がっているのは赤銅のコマ。

 

バジルが使っていたのは、青銅のコマ。

 

 

「バジル…が、勝った、の?」

 

分かった途端に嬉しくて、私はバジルに思いきり飛びついた。

 

「バジル!凄い凄い!おめでと〜☆」

「うん!やったぜっ!」

 

にっこりと無邪気な笑みを浮かべて喜ぶバジル。

何だか嬉しさがひしひしと伝わってくる。

 

 

「さてと、バジル。優勝商品は僕から手渡そうか?」

 

が台の上に乗っていた優勝商品を手に取る。

それは大粒の、誰から見ても分かるほどに見事な輝きのパールだった。

 

 

…バジル、いつの間にこんなものを…。

 

 

「いいんだよ。これは俺が優勝しても、俺が貰う気じゃなかったから。」

 

 

 

 

 

 

 

は?

 

 

 

 

 

 

 

混乱している私の手に、その見事な真珠が手渡される。

 

 

 

「……ちょっ、バジル!?」

 

「俺の優勝祝い…貰いッ!」

 

 

ちゅっ、と軽やかな音を立てて、一瞬、私の唇に柔らかいものが触れていった。

 

その後、ギャラリーのわぁっという声に押されて、私は何も言えなくなって…

ただ、バジルを呆然と見て真っ赤になるしかなかった。

 

バジルは少しだけ顔を赤くして頬を掻くと、

 

 

「嫌、だった?」

 

 

 

 

……バカバジル。

 

 

 

 

小さく呟いてやってから、私はもう一回相手の胸へ飛び込んだ。

 

 

 

 

 

コマは、歓声の中ひっそりと回っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

自分でも意外だよ…。まさかバジルドリが書けてしまうだなんて!!(衝撃)

何とマイナーな…。シグルドさんを先に書けよという話ですよね。書いてますけど。(笑)

バジル可愛いですよねぇ〜…多分昔なら好みの筆頭。昔は童顔好きだったし…。

いや、いまでも美少年好きですよ。ただ、なんでバジルが気になったかというと、

猫口だから!そんだけ。(爆)なんとなく同族のにほひかな…。

 2004・9・3 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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