「寒…。」

 

コートを羽織っていても、突き抜けてくる12月の風が痛いほど冷たい。

今日はせっかくこたつの中でぬくぬく過ごそうと思っていたのに。

『若いもんが寒さごときでぐたぐた言うな』とかいう大人の屁理屈で、

わざわざ駅前の店までお買い物。

 

若くても寒いもんは寒いんですよぉーだっ!

 

そう心の中で愚痴ったとき、ふっ、と浮かんだ幼馴染の彼の姿。

 

 

 

「寒いのならグラウンド20周程度走ってくるか。」

 

 

 

手塚、今頃どうしてんのかなぁ。

律義に毎週電話をかけて来てくれるけど、話し下手な手塚だから、

あんまり話は弾まないんだよね。…ま、そのほうが「らしい」けど。

 

 

 

 

「うわぁ、はちあっちゃった?」

 

駅前を通り掛かると、構内からぞろぞろと人が出て来た。

どうやら新幹線の発着にぶつかったみたい。

人込みを分けていくのも何となくおっくうでその場に立ち止まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

。」

 

「えっ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく聞き慣れた、でもこんなところで聞けるはずの無い声。

私はすごい勢いで振り返ってその人を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

 

イブの日は共に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「手塚ぁっ!?」

「こんなところで叫ぶな…。」

「あ、ごめん…。」

 

眉をしかめて、レンズの奥の瞳が私を映す。

 

「…何をしている。」

「夢じゃない…。」

 

 

私が自分でつねった頬を撫でる手塚。

そして滅多に笑うことが無い手塚の、ぎこちない微笑が零れる。

 

「大体、俺は連絡しておいたぞ。今日、日本に帰ると。」

「えぇっ?聞いてないよ!」

「電話をしたらちょうどおじ様が出てな。ちゃんと伝えておくと言っていたが。

 だから、迎えに来たのだと思っていたんだが」

「えっ!?」

 

…あんの性悪クソ親父め…!

わざと伝えないで、私を買い物に行かせたな〜。

まったく、すれ違っちゃったらどう責任とってくれるつもりだったんだ!?

 

、お前に渡すものがある。」

「え?ひょっとして、お土産?」

「……まあ、そんなところだ。

 どこか落ち着けるところへ行こう。ここでは通行人の邪魔だろうからな。」

「あ、そだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久々に、手塚と一緒に街を歩く。

さっきまでの寒さが嘘みたいに、身体がぽかぽかと温かい。

 

「ところで、何で急に帰って来たの?」

「クリスマス休みが入ったからな。俺は向こうで過ごしても良かったんだが、

 コーチに、長い休みは親元にいた方がいいだろうと言われてな。」

「そっか。」

 

私は、毎週電話じゃなくて、帰って来てほしいと思ってるんだけどな。

 

 

絶対、口には出さないけどね。

 

 

言ってしまったら、手塚の負担になっちゃうことは目に見えてるから。

 

「…まあ、あとは。がどうしているかも知りたかったからな」

 

ごにょごにょと呟くように言う手塚。

 

何だか照れ臭くて、短く、「うん」とだけ答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「変わらないな、ここは。」

「うん、相変わらずだよ。」

 

近所の公園のテニスコート。

小さい頃から変わらない、ボロいコートだけど、思い出が詰まっている、

私たちにとっては大切な場所。

 

「…。」

 

ベンチに座って、私を呼ぶ手塚。

促されて座ると、ベンチがひやりと冷えていた。

 

「これを、受け取ってくれるか?」

「え?あ…うん。」

 

何故だか、真剣な声の手塚。その雰囲気にちょっと動揺する。

手渡されたのは、小さい包み。

 

「…開けてみていいの?」

「ああ、構わん。」

 

綺麗な包装紙を破らないようにそっと丁寧にはがし、箱を開ける。

多分、ドイツ語だろう新聞を緩衝材にしているのも、どこかおしゃれ。

 

その中に入っていたのは、銀細工で出来たネックレス。

 

「これ…。」

「電話で言っていただろう。この世でたった一つのものが欲しいと。

 向こうの職人に作ってもらったんだ。…クリスマスプレゼント…といったところか。」

 

繊細なデザインの、そのネックレスを見つめる。

 

「…っ、、どうした…。」

 

慌てたような、手塚の声が聞こえる。

 

 

私が、涙を流していたから…。

 

「…あれ、変だな。嬉しいのに、何だか…。」

。」

 

 

 

手塚の端正な顔が近づいてくる。

 

瞳の端に、柔らかなものが触れる。

 

 

「手塚…。」

「…クリスマスは、もうあまり興味はなかったんだが…。今年ばかりは、何故か

 逢いたくなって…。よく、考えてみた。

 答えは至極簡単で、我ながらおかしかったな。こんなにも単純な事なのにな…。

 

 

 

 

 

 

 

 俺は、が……好きだ。」

 

 

 

 

 

 

 

何よりも、望んでいたプレゼント。

たった一つ。何より欲しいもの。

 

「国光…。」

 

 

 

 

手塚の、心。

 

 

 

 

 

 

下から這い上がってくるような、雪が降る前の寒さも気になる事はなく、

 

ただ、戻ってきた手塚の温もりを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

  

クリスマス・イブの日の事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

駄駄駄駄―ん。(苦笑)ここまで駄文になるとは思いもよらず(笑)最初はよかったんだ

けどなぁ…。クリスマス1発目は手塚さんでした。一応この手塚さんはドイツへ行って

いるようです。九州行ったり、アメリカ行ったり、忙しいね手塚さん(笑)頼むから

統一して欲しい…。いちいち注意書きしないとならない(汗)。

 2003・12・24 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

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