この関係は壊したくないけれど…

今よりももっと、そばに居たくて。

「ねーねー大石ぃ！！ちょっと聞いてよぉ。」

いつもと変わらぬ言葉で始まる、彼女の愚痴。

「…どうしたんだい、一体。」

「…わーってんでしょ、大石君？」

「また、振られたのか？」

「そーなんだよ！！もーマジ悲しくって！！」

彼女はいつも振られるたびに俺の所へやってきては、ひたすら不平不満を言いつづける。

自分のどこが悪かったのかとか、ホントはあの人のこんなとこは嫌だったとか…。

どうしてそんなに恋が出来るのか、不思議に思ったこともある。

『そりゃー運命ってヤツ？』

はそんな事を言っていた。

じゃあ俺のこの気持ちも運命だって言うのか？

が、いつのまにか好きになってたことも。

『大石…。』

一番初めに彼女から、恋の悩みを聞いたのは…二年の頃だったと思う。

中庭のベンチに一人、俯いて座っているの姿があった。

吹きぬける風が彼女の髪を玩んでも、整える事をせずに俯いたまま。

俺の気配に気付いて上げた顔。

涙の跡もそのままの頬、赤くなってしまった瞳。

不謹慎だと分かっていても、その姿に惹かれてしまった。

「はぁ…もうこれでまた失恋記録ズンドコ更新中だよ…。」

「（ズンドコ…？）俺は相談され記録更新中だよ。」

「いいじゃない？頼りにしてまっせ、旦那。」

「誰が旦那なんだよ。」

「大石。」

「……。」

「旦那はだめかい？じゃあ若君？いや、そんながらじゃないね。どっちかってとオカン。」

「オカン？？俺男なんだけど。」

「わーってるよ、そんぐらい。属性がおばさん属性なんだよ。」

「おばさんって……。」

最近は失恋しても、前のようにひどく落ち込む事は無い。

今度のように愚痴った後はすっきりして冗談を言ってみたりもする。

それはそれでいいんだけど…毎度毎度俺は不安になる。

もしこのまま、「失恋記録」が止まってしまったら…？

俺は単なる「いい友達」で終わるだろう。

…それはとてもご遠慮願いたい事態だ。

でも、どうして俺に話すのか…分からなくて一度聞いた事がある。

『んー、誰よりも話しやすいっていう感じ？呆れながらもちゃんと聞いてくれるし。』

話しやすいって、それはやっぱり「いい友達」でしかないからなのかな……。

「大石さーん？？いかがなさいましたー？？胃が痛いですか！？胃薬であえー！！」

「胃は痛くない…って、勝手に人の鞄を漁るなって！！」

「いいじゃん、減るもんじゃなし〜。」

「減るよ、きっと何か。この間もペン、パクってただろ？」

「平気よ、世の中は質量保存の法則で成り立ってるから！」

「質量を保存する場所を変えないで欲しいな。」

他愛ないじゃれ合いが、いつ終わるかびくついてる。

なんで俺はこんなに臆病なんだろう？

だから、また…俺はイライラする。

だから、また…俺はピンチになる。

「大石、聞いて聞いて。」

「今度はどうした？」

いつもとは違った感じの、の口調。

「あのねっ、また好きな人が出来ちゃったのー！！」

恐れていた、コト。

チリチリと胸を焼く、嫉妬の炎。

「…良かったな。」

こんな時でも、俺は言う事が出来ない。

たった３文字の、簡単な日本語が喉に引っかかる。

「好きだ。」と。

振られることの恐怖が頭ん中を駆け巡って。

「頑張れよ。」

「うん、いつ告白しようかって迷ってるとこなんだけど。」

そんな事を、相談されても困る。

告白したいのは、俺のほうなのに。

「…すぐの方が、いいんじゃないのか？」

そうしてまたお人好しのまま、俺は逃げようとしている。

への想いを、ひた隠しにして。

「そっか。んじゃすぐ告ろう！！」

「えっ？」

は俺の手を取って、

「大好き。」

俺がどんなに言いたくて、言えなくて、イライラしていたその言葉を

彼女はさらりといってみせた。

しかも、４文字に増やして。

「どうよ、大石？」

繋いだ手から、勇気が流れ込むように、

「…そばに居て欲しい…に。」

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後足掻き

ふしゅ〜…（ちょっとマム化。）ニセ大石がいる…エセが居る…。椎名　杏理ちゃんから

の３０００ＨＩＴリク…。なんですが。えと、これはＳＵＲＦＡＣＥの「ジレンマ」と

いう曲ベース。セリフにたくさんちりばめられている歌詞。歌詞をそのまま打つと長く

なるので。えっと、題は「じれったい」というイミ。だと思う（汗）間違ってても

許してください。英語好きだけどわかんない…（汗汗）あたいは日本人です！！（だから何だ。）

もっと研究しよっと…。

　２００３・２・５　月堂　亜泉　捧