長い事、私の隣には彼女が居る。

 

いかなる時にも、冷静さを失わない、気丈な女性。

 

 

 

 

だが、ほんの一瞬見せる女性らしい表情に、私は惹かれた。

それでも……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かけがえのない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大佐。ここにサインをお願いします。」

「ああ…。」

 

自分で溜めておいてなんだが、面倒な事になっている。

 

サインを書類の端に書くだけの単純作業ではある。だからこそ辛い。

その上、その量が半端ではない事も、私のやる気を十二分に削ぐものであった。

 

 

 

だが…逃げられない…;

 

 

 

 

「大佐。ぼんやりと窓の外を見ているお時間がおありなら、私が手分けしている雑務の

 書類の方もお持ちしますが。」

「えっ、い、いや…そちらは、中尉に頼む。」

 

再びペンを走らせる。

 

 

最初に書いたものと少なからず変わっているであろうサインを、また書き始める。

とはいえ、肉体的にも精神的にもかなり限界が近いのだが。

 

 

ふと、書類を渡す中尉の首筋に目が行く。

 

「中尉。」

「何ですか、大佐。まだお茶の時間には程遠いですが。」

「私のつけた痕が残っているようだね?」

 

言った途端にばっと首筋を隠す。

私はその光景があまりに可愛らしくて、つい笑い出してしまう。

 

「いや、すまない。…もう残ってはいないよ。残念ながら。」

「大佐っ!」

 

怒りと照れを含んだ声に、再び笑みが零れてしまう。

まだ半分にも満たない出来あがりの書類を渡し、そのままその腕を引き寄せ抱きしめる。

書類がはらはらと舞っていったが、この際気にしない事にさせてもらおう。

 

「大佐、書類が…。」

 

「放っておけばいい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そうは参りません。」

 

 

 

かちり、と耳元で弾が装填される音。

彼女の銃の腕は相当なものである。

 

「ははは、軽い冗談だ。」

「でしょうね?」

 

 

にっこりと笑う(が、目は笑っていない)彼女を見ながら、書類を拾いに行く。

 

 

「大佐。それくらいならば私がやっておきますから。早くこの山積みの書類をどうにか

 していただきませんと。」

「たまには別の動きをしなくては、身体が凝り固まってしまう。」

「机で凝り固まったまま仕事をしていただけたらすぐに終わりましょうね。」

 

 

 

 

…手強い。(汗)

 

 

我ながら凄い女性に惹かれたものだ、と思う。

 

今までは華やかな、世慣れしたような女性ばかりを見ていた。

 

 

 

「あの」出来事の後、全てに失念していた私は、知ったのだ。

 

彼女に出会って。

 

 

 

 

 

側で何も言わずただ支えてくれることが、どれだけ私に安心を与えてくれるのか。

 

振り向けば常にそこにいるという事が、どれほど心強いのか。

 

一を言えば十を解してくれることが、どんなに深い信頼となるのか。

 

そして。

 

 

 

 

「ホークアイ中尉。」

「…なんですか、大佐。」

 

「これからも、私について来てくれるか?」

 

一瞬、またふざけているのだろうと口を開きかけた彼女だったが、

私の眼を見て瞳を閉じ、ゆっくりと。はっきり告げた。

 

 

「大佐の後ろを守るのは、私です。」

「…頼りにしている。」

 

 

高慢にも聞こえる返事ではあるが、これこそ正答。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かけがえのない、パートナーなのだ。

 

様々な意味で…側にいて欲しい、女性。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

おみゃあさん、こりゃアイロイアイでないらー(笑/訳:あんた、これアイロイアイじゃないよ。)

そんなわけで思わず方言が出てしまうほどの出来の悪さです。最初これはweb拍手に

使おうと思ったんですが、web拍手にメイン外のものが増えるんで…。止めました。

一応…関係はあるようです(爆)権力関係がころころ入れ替わる(?)のがこの二人の

醍醐味かと(笑)つか二人ともエセ化してますね☆(爽やかを装う笑い)

 

 2004・7・11 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

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