冬の低い日が部室の奥まで差し込む。

このところ晴天続きで乾燥した空気は、余計に寒さを身にしみさせる。

そんな、クリスマスの日。

 

 

 

 

 

 

神に確かな想いを。

 

 

 

 

 

「何だかさ、寂しいよね。」

「…何がですか?」

「本当は25日…今日がクリスマスだって言うのに、こんなに閑散としちゃうんだもん。」

 

ぽやんとした顔で、部室の窓から外を見る

僕の彼女でもあるは、最近よくこの部室に入り浸っている。

 

美術部の作品を書き上げるため、時折ここから教会の絵をスケッチしている。

 

 

「でも、これがあるべき姿なんじゃないですか?24日は前夜祭として祝い、

 25日はひっそり過ごす、と学校長も言ってたでしょう。」

「知らない。朝のミサはだいたい寝てるから。」

「…貴女も、つくづく信仰心のない人ですね…。」

「目に見えないものより、そこにある確かなものの方がいいでしょう?」

 

 

にこっ、と僕に微笑みかける

 

 

考え方は、僕とよく似ていると思う。だから余計に、彼女に惹かれたのだけれど。

 

「だって、毎年教会をあんなきらびやかにイルミネーションで飾っといて、25日に

 なったらさっさと取り外しちゃうのよ?勿体無いのー。」

「ずっとつけておけば電気代の無駄ですよ。それこそ勿体無いです。」

 

まだ何か言いたそうなを横目に、僕はパソコンデスクに向かう。

 

「ねえ、紙と鉛筆ちょうだい。」

「自分で取ってください。僕は今データの更新で忙しいんです。」

「へぇ〜。」

 

僕の肩の所から顔を出して、ディスプレイを見る。

 

さらさらと彼女の髪が僕の耳元をくすぐる。シャンプーの清楚な香り。

 

 

 

 

 

高鳴る鼓動が聞かれないかと内心ひやひやして。

 

 

 

 

 

「あー…わっけわかんない。よく頭痛くならないね〜…。」

「頭痛くならないからやってるんですけどね。」

「さいですか。私は絶対無理だわ。」

 

オーバーリアクションで肩を竦め首を横に振る。

紙と鉛筆を持って再び窓の側へ行き、

 

 

「うーん、昨日の教会、やっぱりスケッチしておくべきだったなぁ…。」

 

窓から教会を見て、そう呟く。

と思ったら、突如振りかえって、

 

 

「ホントは、はじめをスケッチしたかったんだけどね?」

「僕ですか?」

 

思わず、少し声が上ずる。

 

「うん、ほら、昨日の賛美歌独唱!かっこよかったなぁ〜って…。

 1人でスポットライト浴びて、すごい綺麗な声で歌うから。イエスの申し子って感じ?」

「そんなに大層なものでもないですがね。」

「そんなことないよっ。」

 

が、僕の椅子を無理やり動かして自分のほうへ向ける。

 

「すっごくかっこよかったんだから。だからっ、

 

 …誰か、他の女子とかが…はじめに告ったりしたらいやだなって思ったくらいに…。」

 

 

 

涙腺の緩いは、感情が高ぶるとすぐに瞳が潤む。

悲しいときも、怒ったときも、嬉しいときも。

 

 

 

 

 

 

 

すべての瞬間が愛しくて、仕方がない。

 

 

 

のためになら、いつでも歌ってあげますよ。」

「え…?」

「んふっ、賛美歌でも、何でも。」

 

驚いているの身体を抱きしめる。

 

「イエスの申し子、とは、素晴らしい比喩をくれますね。

 でも、そうしたら僕はを何と比喩したらいいんでしょうかね?」

「…比喩は、いらない。」

 

僕の腕の中で小さく呟く。ジャージをきゅっと掴んで、

 

 

「比喩なんかじゃなくて…。私は…はじめの隣にいられたら、なんでもいい。」

 

 

 

…これほどまでに可愛い人は、今まで逢った事がないかもしれない。

 

 

…いえ、ただ単に、僕がそれだけを愛してしまっている、

という事かもしれませんが…。

 

 

「…25日も、悪くないかも。」

?」

「こうして、はじめとのんびり一緒に過ごせるなら…。閑散としてても構わないな。」

「…僕もですよ。」

 

 

 

 

 

 

僕らを、冬の低い太陽の光が包んでいく。

 

 

 

 

とても暖かい。

 

 

 

 

 

 

 

それは、太陽に照らされて暖かくなっているだけではなく、

 

 

 

 

暖かい想いが、心から、全身を包んでいくおかげ。

 

 

 

 

 

 

 

「好きですよ、。…貴女は、どんなクリスマスプレゼントにも変え難い…

 

 

 僕の、一番大切な人ですよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖なる夜が明けた日は、聖なる想いが花開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

うわぁ。25日にぎりぎり書き終わった…。でもあげるのは26日(苦笑)

ファンブックで判明した観月の賛美歌独唱。そんな、ありえないよね、石田さん!!(笑)

もう、歌う事をとことんにまで拒否しつづけなくても…ねえ?観月の歌声、是・非!

聞きたいですよね、みなさん!出しちゃおうよー、観月のCD!!(切実に、ね。)

それより自分は文才をどうにかしようよ…。いくら1時間で書き上げたからってこの

駄作はどうなんだよ自分!?…ゴメン観月…。苦情大歓迎(泣)

 2003・12・25 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

 

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