「あっ!一番星みーつけた!」
少しずつ暗くなって行く夏の空を見上げて君がそう叫んだのは、
俺が手を伸ばしかけたそのときだった。
君に
送る
星
部活終わり。
いつものように俺を待っていたに何を言うわけでもなく一緒に歩き始める。
それが当然の事だから、も何も言わない。
神尾には喧しいくらいに「変じゃねーの?それ」って言われた。
別に、俺は気にしてないし。そんなもんじゃないの?幼馴染なんて。
「ねえ、ちょっと公園寄っていかない?」
「…いいけど。」
珍しいな、とか思いながら、近くの公園へ向かう。
そこには申し訳程度のテニスコートに壁打ち場所があった。
「えーっと?これが…フラット?」
「違う、スライス。」
「うええ?わっかんないよ、違いがぁっ!」
「どうしてこれぐらい分かんないのかなぁ?」
「分からないってば!深司はテニス部だから当然のように知ってるかもだけど、
ド素人には全然わかんないのー。」
「そう?」
「そうなんです。」
は俺の予備ラケットを使って素振りをする。
「…うわ、下手くそ。」
「しょうがないでしょ、やった事ないんだから。」
多分、俺の知り合いの中で一番付き合いの長いは、家が近所でしょっちゅう遊びに来る。
妹達と話したりはするけど、結局俺の近くで何かしら喋って帰る。
昔から世話焼きで、そのくせどこか抜けてて。
俺なんかほっておけばいいと思うのに、何故かいつも俺の側にいる。
「ところでさ、次の大会っていつ?」
「来月。」
「そうなんだ?じゃあ、応援に行こうかな〜。」
「別に来なくてもいいんだけど。」
「まあ、そう照れなさんな深司君♪ちゃんがいれば絶対勝利、間違いなし!ね?」
いつもの事。
どこから来るのかわからない、根拠のない自信。
でも、俺はそれが嫌いじゃないし、そのとき見せる笑顔が、可愛いのも知ってる。
「別に照れてないんだけど…それよりさ、いつも応援来てるのに、今更言う必要あるのかなぁ…。
だいたい、勝ち負けは応援で決まるなんてありえないんじゃない?
来なくても俺絶対勝つし。っていうか、相手ぶっ倒すから。」
「おー、気合入ってるねぇ。でも、さ。」
ひょい、と俺の目の前に顔を出して、
「私は勝ち負けはどうでもいいっていうか…いや、そりゃ勝って欲しいんだけどね?
深司が怪我したりしなければ、それでいいんだ。」
…そうか。
いっつも俺の試合を不安そうに見てたのは、
俺が勝つか負けるかじゃなくて、怪我をしないかってことだったのか。
「あっ!一番星みーつけた!」
少しずつ暗くなって行く夏の空を見上げてがそう叫んだのは、
俺が手を伸ばしかけたそのときだった。
「ほらほら深司、見てみて、あそこ!」
菫を溶かし込んだような色の空に、輝く星。
「なんでみんな一番星が好きなんだろうね。やっぱ、一番って特別だからかな?」
「そうなんじゃない?」
「うわ、興味薄そう…。でも、テニスでは一番になりたいでしょ?」
「当たり前じゃん。」
誰にも負けない、負けてやらない。
そう思ってんだから。
「じゃあ、あの星は深司のもの!よし、決定。」
「何、突然。」
「一番になる人には、一番のものをあげなくっちゃ。」
「星くれても、どうしろって?」
「いいじゃん、勝ち負けを白星、黒星って言うし。ほら!」
「…強引。」
「ありがとう、素敵な褒め言葉♪」
にっこり俺に笑って見せる。
どうして、はこうなんだろう。
いつも、俺の側にいてくれる。
いつも、俺の何かを揺さぶる。
「…いいや、いらない。」
「えー?どうして?」
「俺には、がそばにいればそれでいい。」
その瞬間、の顔が真っ赤に染まった。
残っていた夕日の色を、全部吸収してしまったみたいに。
「しっ、深司!?」
「…なんか変な事言った?俺。」
「いや、その、えと、どういう…。」
あまりに動揺するが何だかおかしくて、俺は微笑った。
久々に笑ったかもしんない。
「帰るよ、。」
「え?あっ、ちょっと待ってよ深司!」
分かった。
俺の気持ちも、本当に欲しいものも。
俺はが、好きなんだ。
でも、しばらく言わない。
一番星を掴んで、君にあげられるようになるまで。
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後足掻き
うわあぁぁぁぁ…失敗作!やっちゃった。ゴメンね深司☆キャラ全然掴めてない。(殴)
初不動峰はやっぱり深司でした。深司はかなり好きなんだけど…ドリとして書くには
難しい人かも…いや、設定が悪いって言っちゃそこまでなんですが。何か言い訳し始める
と止まらなさそうなのでよします。(最近しょっちゅうそうだな…)
2003・12・15 月堂 亜泉 捧
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