不快だけど、いつも通りの重みにオレが夢と現を行き来していると、
フッ、とその重みが無くなった。
それで、というわけじゃないけど、オレはぱちっと目を覚ます。
「ほあら〜っ。」
「よーしよし、カルピンはいい子だなぁ、可愛いね〜☆」
猫なで声でカルピンを奪ってくのは…。
「、お前なぁっ…!」
「なによお!いいじゃない!リョーマばっかりカルピン1人占めしちゃってさ!
私だってカルピン1人占めした〜いのっ!」
そう叫んで、カルピンを抱いたままオレの部屋を飛び出ていった。
君のいる日々
ACT・1 君と僕と猫
「、お前いい加減にしろよっ!」
「やぁだっ!私のカルピンを取らないでっ!」
「いつからカルピンがお前のモンになったんだってのっ。」
とたばたと追いかけっこ状態。
テニスなら絶対負けないのに、こうも狭いと追いかけづらい。
「にゃろう…。」
「おはよう、リョーマさん。朝から元気ですね。」
「ちょっと今取り込み中なんだけど…っ待て!」
「あら…リョーマさん、こんな事していていいんですか?今日は部活の日じゃ?」
奈々子さんに言われて、オレはバッと振りかえってカレンダーを見る。
「ゲッ…。」
「行ってらっしゃ〜い、リョーマちゃん☆」
にこにこと満面の笑みを浮かべる。…むかつく…。
「、お前…部活は?」
「あれ、聞いてなかったの?今日は女子テニス部、女子ミクスド部員は午後から♪」
「………行ってくる。」
不服だけど、オレは渋々ラケットバックを持って家を出る。
「ほあらっ!」
カルピンの鋭い声がする。
それと同時に、バタバタとすごい音が聞こえてくる。
玄関の猫用出入り口から、いつものカルピンじゃ考えられないすばやい動きで出てくる。
その後ろから、も慌てて駆け出してくる。
「なっ…!」
気付いたとき既に遅し。
オレは何とか受身を取ったものの、とぶつかって倒れ込む。
「いってぇ…。」
カルピンはぎりぎりのところでよけたみたいで、オレの隣で暢気に鳴いている。
「つか、。重いんだけど。早くどいてくんない?」
オレが話しかけても、はピクリとも反応しない。
「…?…おい、起きろってば。」
オレの背中に、いやな汗が伝っていくのが分かる。
気を失った人間は、普通より重く感じる。
オレより背が高いくせに、折れてしまいそうなほど細身ながこんなに重くないはずだ。
「…ったく、こんな事で世話かけないで欲しいんだけど。」
仕方なく、オレはを背負って家の中に入ろうと屈んだとき、何か光る物があった。
カルピンがじゃれようとするから、その手を払って拾い上げる。
それは、何の変哲もないビー玉。
ラムネの瓶に入っていそうな、半透明のグレーで、気泡が入ったそれ。
「…ダメ…それ、じゃれちゃ…。」
うなされているのか、何なのか。肩口でがそう呟く。
オレはため息をついてそれをポケットにしまう。
「この貸しは、高くつくから覚悟しなよ。」
「…ん…。」
「あ、気がついた。大丈夫?どこか痛む?」
「え…?奈々子さん…。」
「家の前でリョーマさんとぶつかったの、覚えてる?」
「あ…何となく…。」
「それで、気を失ってたから、リョーマさんが運んできてくれたの。おばさまが
学校のほうには連絡を入れておいたそうだから、今日はゆっくり休んで。ね?」
「ハイ…。」
「ご飯は用意してあるから、大丈夫なようなら下に降りてきてね。」
「はーい。」
奈々子が出ていってから辺りを見まわし、伸びをする。
「…そっか、私気失っちゃったんだ…。」
情けないなあ、と思いながら立ちあがる。
コトン。
落ちてきたのはビー玉。
にとっては大切な、たった一つのもの。
「あ…良かった…。でも、カルピンが持ってきてくれたのかな?」
小首を傾げながら、リビングへと降りて行く。
2人の気持ちは今、平行線のところを辿っている。
その線が交わろうとするのは、もう少し先…?
========================================後足掻き
ひゃほーい(変なテンション)…ごめんなさい、ホントに上手くまとまらなかったです。
とりあえず連作…なんですよ、これ。なんで、半分序章として書いてます。
それにしたってやっぱり最後が納得いかない…。ちょっと…また今度書き直すか(汗)。
この話のヒロインはS&T2のヒロインがモデルです。というわけでお相手はリョマさん
です、一応。この連作が終われば、他の人も書く可能性ありますね。とりあえず…。
この話をちゃんと完結させよう。(爆)が、頑張ろう…。
2004・2・11 月堂 亜泉 捧
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