「いっや〜、今日も暑いねぇ。」

 

カバンの中から下敷きを取り出して扇ぐ。

今日辺り、その風は生ぬるくて仕方ないけど。

 

「…親父くさい言い方やめたら?」

「だってさぁ、こんな朝早くから30度越してるんだよ?

 どうなっちゃったんだろうね、東京は。ヒートアイランド現象かなぁ?」

「なんじゃない?」

「うわっ、冷た〜い。」

「いいじゃん、涼しくなって。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

君のいる日々

 ACT.3 暑い夏の日差しと心

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休み。部活の時間が目一杯取れ、大会に向けて頑張る季節。

勿論テニス部もその例に漏れず、毎日を練習に費やしている。

 

「越前、。お前達は菊丸と大石を相手に練習だな。」

「レベル高いですね…。」

 

が珍しく不安そうな声を上げる。

大石先輩と菊丸先輩のゴールデンコンビが相手じゃ、俺達即席の

1年ミクスドコンビは歯が立たないと思うのも当然だろうし。

 

「何、やる前からそんな心構えなわけ?は。

 …勝つよ。先輩達だろうが関係ないし。」

 

俺がそう言ってやると、の顔がいつものぱっと賑やかな顔になる。

 

「うん、そうだよね!よし、大石先輩、菊丸先輩。負けませんからね!」

「はは、お手柔らかに頼むよ。」

、まだまだ俺達には勝てないって事、見せつけてやるからにゃっ♪」

 

ネットを挟んで、しっかりと握手を交わす。

俺がまず前衛に回る。サービスは先輩達から。

 

は意外にサポートが上手い。

最初はこんな奴にサポートが出来るのかなんて思ったけど、

桃先輩と練習で試しに組んだ時よりも、よほどしっくりいった。

 

「リョーマ、お願いね。」

「言われなくても。そっちこそしくじらないようにしてくれる?」

「むーっ、私だって言われなくても、ですよーだ。」

 

太陽の光を受けてますます鮮やかな黄色いボールが、コートに飛び交い始めた。

 

 

 

 

 

「7−5、大石、菊丸ペア!」

 

審判の乾先輩の声が聞こえ、ふぅっと息を吐く。

あと少しのところだったのに、と悔しくて帽子を目深に被る。

は悔しいはずなのに、晴れやかな表情で菊丸先輩と握手を交わしていた。

 

「やっぱ強かったです、先輩。」

「へっへーん、まぁねっ。でも随分成長したよ、おチビもも。

 何度も『ヤバイかな』って瞬間あったもん。ね、大石。」

「ああ、そうだな。段々いいペースが出来ているみたいだ。」

 

誉められて悪い気はしないけど、やっぱり負けた事は悔しい。

 

「リョーマ、次は絶対勝とうね!デュースにさえならないうちに!」

 

がにっこりと笑顔でそう言ってくる。

何故か、こいつの笑顔は俺の自信を取り戻してくれる。

 

「当然でしょ。」

「むむっ、生意気〜ッ。」

 

菊丸先輩が俺を後ろからヘッドロックする。

 

「わっ、ちょっと、菊丸先輩!」

「おぉっ、面白そうな事やってるっすね!俺も混ぜてもらおーっ。」

 

練習試合が先に終わって休憩していた桃先輩も加わり、じゃれあいが始まる。

 

「あははは、リョーマ、愛されてるね〜。」

「何言って…うわっ!」

 

が屈託のない笑顔を見せる。

 

もちょっと受けてみたら?」

「遠慮。女の子には優しくしてよね〜。」

「そういう時ばっか女の子を理由に逃げるのって卑怯だよね。

 練習の時はそういう扱いするなって言っておきながらさ。」

「それとこれとは話しが別なんですぅ〜。」

 

暑い中、二人とも汗だくのどろどろだ。髪だって走りまわったのと

風のおかげでぐしゃぐしゃ。俺に至っては先輩にヘッドロックされて余計だ。

 

「ちょっとリョーマ、聞いてる?」

「聞いてなかったおチビに奢ってもらおうか〜、♪」

「ああ、それいいですねぇ、菊ちゃん先輩♪」

「はぁっ!?」

 

 

それなのに…。

 

「ほらほら、リョーマ!早くしないと置いてっちゃうぞ〜!」

 

 

なのに。

 

どうしてあいつは、あんなにも輝いているんだろう。

 

 

 

…まだ。

 

まだ気づきたくないのに…。

 

 

 

 

 

胸の高鳴りだけが、増えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

========================================

後足掻き

はい、連続小説第3弾です。何となくいつの間にか連載のような雰囲気も醸し出しつつ。

越前さんが何となく愛らしいですねぇ。恋を知ってしまった初々しい少年なんですよ。

(自分が書くとこの上なくキモイですね。)咲乃はシカトぶっこいてますね。

まぁゲームでもそうですからいいかなと(笑)

 

 2005・8・17 月堂 亜泉  捧

 

 

 

 

 

 

  

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送