遠くから眺めていられれば、それで良かった。

でも、人間って強欲なんだよね。

愛しいと感じた瞬間から、僕だけのものにしたくなってしまう。

 

 

Distanse is Notheing

 

 

「あ、そういや男子テニス部に、がマネージャーで入ったよね。」

 

昼休みのこと。偶然出くわした僕の女友達、がそんな事を話しかけてきた。

とは結構仲がいいもんだから最初は付き合ってると誤解されて、の方は

女子に逆恨みされたらしい。けど、二人ともきっぱり言う性格だったから

噂はすぐに消え、仲のいい友人同士だ、と皆分かってくれた。

 

「うん。そうだけど。」

 

僕は母さんの作ってくれたお弁当を食べながら答えた。

 

の働きっぷりはどう?周、あんたの事苛めてないでしょうね??」

 

友達第一を考える彼女らしい台詞だなあと、苦笑しつつも答える。

 

「大丈夫だって。よく働いてくれてるよ。それに、苛めるわけないだろ?」

「ま、それもそっか。…私に感謝しなさいよぉ〜、周?」

 

にやにやと笑う

 

つい先日、我が青学男子テニス部に女子マネージャーが入った。

彼女の名前は、 

竜崎先生の遠縁で、今回特例でマネージャーになった。青学男子テニス部は

女子から熱烈な支持(?)を受けていて、普通にマネージャーを募集してしまったら

部員よりマネージャー数が多くなってしまう。

彼女が今回特例でマネージャーになったのには様々な経緯があるのだが、一番の理由は

が強く推薦したというところが一番大きい。

 

「やっぱり、マネージャーは必要だと思うんです。彼女、一時期スポーツドクターの

 勉強をしていましたから…役に立つと思うんです。」

 

半分は嘘。を推薦したのは、僕が居たから。

 

僕は、の事が好きだったりするから。

 

同じクラスだから用事で話していたりするとき、

と話しているときとかに、彼女を目線で追っていたんだ…。

遠くから眺めていられれば良かったのに。

 

いつのまにか、側にいて欲しくなって。

あまりに強い想いは、僕の胸じゃ納めきれなくて、に相談したら。

「じゃあ私がマネージャーに推薦してあげるよ。竜崎先生も遠縁の子を粗雑には

 出来ないでしょ?」

と請け負ってくれた。で、結果的に成功したのだから、には感謝しないわけが無い。

 

 

「あ、不二君。」

 

部室に入ると、かごいっぱいの洗濯物を畳むの姿があった。

彼女がそこにいる。たったそれだけでもどきどきしてしまうのだから、何だか不思議な

気分だ。

 

「やあ。大変そうだね、。」

「あ、うん、でも全然平気だよ。家の洗濯物より少ないし。」

「へえ、家の手伝いとかするんだ?」

「あー…まあ、親が働いてるから、あたしがやんないといけないっていうのがあるん

 だよね。弟はやってくれないから。」

「ふふ…弟ってそうなんだよね。」

「あ、弟君、いるんだっけ。不二君の弟ならいい子なんだろうなぁ。私の弟なんか

 もう生意気でさー、大変なんだよ?」

「うーん…裕太は意地っ張りなんだよね。」

「でも、弟君好きでしょ?顔が優しいもんね。」

「…よく分かるね。」

 

こうした何気ない会話でも、少しずつの事を知る事が出来る。

それが嬉しくて、マネージャーになってくれて良かったな、なんて思う。

 

「ところで、は何でマネージャーになったの?に無理矢理とか…。」

「え?あ、ううん!!そんなことないよ。私もやりたいなあと思っていたから。」

「そうなんだ。」

 

…誰のために…だろう。

 

ただ純粋にマネージャーをしたいだけと思っているのかもしれないのに。

僕はつい、あらぬ男の影を探す。

 

「…っ!!」

 

小さく悲鳴が聞こえる。

 

?」

「ちょっとドジっちゃった…。ファスナーに指、はさんだ……。」

「っ、あははっ、面白いなぁ…。」

「あっ、ヒドイ、人の不幸を笑うなんて!」

 

何だか、くすぐったいくらいに幸せだ…。

こうして一緒に笑いあえるのが…。

 

もっと、君を知りたい。

もっと、君と近づきたい。

 

最近、他の部員に笑顔を向けるを見ていると……。

 

嫉妬で、胸が焼け焦げそうになる。

 

少しだけ、自分の恐いくらい強い想いに困惑する。

 

「ねーねー、ーっ。って好きな人、いんの??」

 

一通り準備運動が終わって、ラリーを始めたころ。英二がそんな事を言い出した。

 

「え?何を突然。」

「決まってんじゃん?俺、の事好きだからさっ☆付き合って欲しいにゃーってこと!」

 

一瞬、身体全体が心臓になったみたいに高鳴った。

もしが英二の事を好きだったらどうしよう…。

 

今すぐに駆けよって、その身体を抱きしめて、

この人は僕の大切な人だって…叫びたい。

だけど。

 

それは『何か』がおしとどめる。

 

 

理性?

 

 

 

いや…違う。

 

 

 

 

恐怖、かな。

 

 

 

 

に嫌われてしまう事への、恐怖。

 

 

 

「残念だけど、菊丸君。あたし、好きな人他に居るんだ。」

「ええーっ!!?そうなのっ!?で、誰??」

 

サーブのためにバウンドさせてあるボール。

実はそっちにほとんど意識がいっていない。

 

「…弟君思いの…いいお兄ちゃん、かなっ。」

 

僕のほうをチラッと見てから、ダッシュで部室へ入ってしまったを、いつのまにか

追いかけていた。

 

…。」

「…はずかしーコトしちゃったなぁ……もう……。」

 

ドアのほうに背を向けてうずくまっているから表情はよく分からないけれど、

さらさらとした栗毛のショートヘヤから覗く耳は、真っ赤に染まっていた。

 

「…忘れて。うん、ごめん、スゴイ迷惑だって分かってる。ごめんね。」

「…、ちょっと待ってよ。…勝手に僕の結論を決めないで。

 …驚いたけど…嬉しかったよ。まあ、女の子の方から先に言われちゃったから

 男としては、ちょっと情けないけどね。」

「…へ?」

「僕も、の事が…の事が好きだよ。」

 

振り向いた顔のまま硬直してしまった

まあ…いきなりだし、ビックリもするよね。

 

「嘘……。」

「嘘じゃないってば。僕、そこまで意地悪い嘘はつかないって。」

 

僕はに近よって、その華奢な身体を抱きしめた。

 

「ね?…本当の気持ちだから。」

「……うん。」

 

の身体は最初強張っていたけれど、そのうちゆっくりと体を預けてきた。

 

。」

「…ん?」

「…僕まだ、ちゃんとした告白聞いてないなぁ…から。」

「っ……不二君の…意地悪っ。」

「僕は、周助だよ。」

……………周助、好きです……。

「ふふ……僕も、好きだよ…。」

 

 

 

やっぱり、遠くから眺めていられればいい恋なんて、恋じゃなくて。

恋してしまえば、側にいて欲しくて仕方なくて。

でも、

僕の『もの』にはしない。

は、僕の大切な『女』なんだから。

 

 

 

 

Fin

 

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後足掻き。

枉賀ちゃんのHP開設おめでとう記念不二ドリムとしてプレゼントしたものです。

でもごめんなさい。なんか無駄に長いし、ワケわかんないし、無理矢理詰め込んだ感が

たっぷりだし……(滝汗)。ドリムその他など小説は思いつきでかく私が設定なぞを

書いてしまったがゆえで…(言い訳)もっとマシなのを書こう。ん。(書けるか不明…汗)

 

 2002・11・6

 2002・11・11改  月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

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