庭が美しく整えられた、坂本にある光秀の館。

そこへ美しい輿がやってくる。

 

門番達はその輿の主が既に分かっているので、何も言わずに通す。

ゆっくりと玄関の前で輿が降ろされ、そこから出てきたのは一人の少女。

 

嬉しそうな顔を見せつつ、迷う事なく屋敷の玄関に入る。

 

 

「ようこそおいでなさいました、様。」

 

「光秀様はどちらに?」

 

開口一番、そんな言葉がついて出てくるのももはや侍女たちは分かりきっている。

微笑みを浮かべながら、嬉しそうな彼女を案内した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

盲目の愛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「光秀様、様がお見えなられました。」

 

侍女が襖越しに話し掛けると、光秀は書き物を中断し襖の方へ声をかける。

その表情は嬉しそうに綻んでいた。

 

、入ってきなさい」

 

声がかかると、まるで兎のようにが襖を開けて飛び付いてくる。

 

「よく来たね、。」

「光秀様のためならばたとえ火の中水の中、です!

 私の気持ちは光秀様お一人のものですから♪」

 

にこやかな笑みを浮かべながら、は甘えるように光秀の胸元に顔を埋める。

光秀はそんなを優しく抱き締める。

 

は光秀のいわば婚約者である。

身分は少々光秀よりも劣るが、結婚を考えてもいい地位にいる。

昔から懇意にしている二人は、こうして光秀の屋敷で逢い引きをするのだ。

 

「ところで、最近は戦の方はどうなんです?」

「…まぁ、このところは収まりを見せているようだけれど。

 いつ、信長様が出陣すると言い出すやら…。」

 

苦笑する光秀を見て、は相手の滑らかな黒髪を触り

 

「光秀様が危険な目に会うのは嫌です。信長様に言っておきましょうか、

 光秀様を危険な場所にお連れするのはおやめくださいと。」

「それはそれで困りますよ、私は武士ですから。

 戦場で使ってもらわなければ何の意味もありませんし…を娶ったところで

 大した石高もなければ苦労させてしまいます。」

「娶る、だなんて……そんなぁっ。」

 

が尋ねてくると、このような遣り取りが延々と続き、

侍女も入る隙を探すのが難しい。

それでも慣れたもので、別の仕事を着々と進め、

二人が睦言を囁いていようとも眉一つ動かさない、侍女の鑑が育っているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

。…愛するもののために命を賭すというのは、愚かなことだと思いますか?」

 

突然の光秀の質問には不思議そうに首を傾げながらも、

相手を見つめてきっぱりこう言った。

 

「私はそう思いませんわ、光秀様。」

 

穏やかな笑みを浮かべながら、優しい口調で言う。

 

「命を賭すことが出来るほど大切な人がいるなんて、素晴らしい事じゃないですか。」

「…やはりは、そう言ってくれると信じていましたよ。」

 

光秀は嬉しそうに相手を抱きすくめる。

も答えるように相手の背中に手を回し、穏やかに微笑む。

少しだけ静かな時が訪れ、ふとが顔を上げる。

 

「…あら、光秀様…かすかな水音が。」

「気付きましたか、。」

 

心底嬉しそうに、光秀は締めてあった障子を開ける。

そこには坪庭があり、小さな小川が流れていた。

 

「まぁ…!素敵!」

「喜んで頂けましたか。?」

「え、これを、私のために?」

 

返事代わりの穏やかな笑みを光秀が浮かべると、は嬉しそうに

更に強く相手に抱きつく。

 

「嬉しいです…光秀様…。」

「私は、のためなら何でもしますよ。」

 

さらりと言う光秀に、ほんのりとの頬が染まる。

 

「愛していますよ、。」

「ぁっ…光秀様、恥ずかしいです…。」

「ふふ、まだ囁きには慣れないのですね。」

 

光秀は嬉しそうにの髪を撫でながら、ゆっくりと戦乱の中での休息を味わう。

 

 

 

 

 

このままこの時が続けばと、心のどこかで願いながら。

 

 

そのために、どんな努力も惜しまないと、考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光秀の行動の規範は結局のところ、にすべてあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

ずーっと止めておいて結局こんな出来です(死)ダメですなぁ…むむぅ。

戦国無双もう一度やり直すべきですか、そうですか。

光秀とただラブラブって自分には難しいみたいです。バックボーンとか色々考えたくなる

…歴史バカの性ですね。(苦笑)

 

 2005・8・6 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

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