どうしてなんでしょうね?

僕のシナリオは完璧で、一筋の狂いもないはずなのに…。

 

 

Nobody Could Expect

 

 

 

ガッシャアーン!

轟音を立ててクーラーボックスが中身をぶちまける。

パソコンの画面に向かっていた僕はため息混じりに、

 

「またやりましたね、彼女が…。」

 

僕は仕方なく、音のした方に向かう。

 

「またあなたですか。本当に困った人ですね。」

「はい…すいません。」

 

背を丸め、小さくなる。

気弱で、消極的な彼女、 は、僕が転校してくる前から聖ルドルフの

マネージャーを務めていた。まあ、こんな状態で果たしてきちんと職務がこなせていたか

どうかは甚だ謎ですが。

 

「もう少し気を張ったらどうです。そうしたらわざわざ仕事を増やすことも

 ないでしょうに。」

「おい観月、ちょっとそれは…。」

 

赤澤が彼女を弁護する前に、彼女はきゅっ、と自分の服の裾を掴んだ。

 

しまった。

 

と思った時既に遅し。彼女の大きな瞳に、みるみるうち雫が溢れ、零れ落ちる。

 

「ごめんなさいっ…すいませんっ…私、どうしてこんなにダメなんだろう…観月君や

 他の皆に、迷惑かけ通しで…。」

 

彼女の涙腺はとても弱い。僕が少し毒のある言葉を言っただけで、その瞳は濡れる。

そうすると正論を言っていても、何だか自分が悪いような気さえしてくる。

 

「…ああもう、泣かないで下さい。さあ、早く片付けますよ。」

「ぐす…はい。」

 

 

 

 

「またちゃんを泣かせてたでしょ、観月。」

 

少しだけ悪戯っぽい笑みを浮かべながら、木更津がそう尋ねてきた。

 

「あれは彼女が悪いんですよ。」

「観月の言い方がきついだーね。俺らは平気だけど、ちゃんは繊細だから、

 観月の発言は鋭すぎるんだーね。」

「繊細…泣虫の方が的を射ていると思いますがね。」

「そういうとこがきついんだって。ちゃんにしてみたら。」

「では何といったらいいんです?」

「こんなこともあるさ、気を落とさないでさあ、早く片付けちゃおう。…とかね。」

「…そんな事を僕に言えと言うんですか?」

「いや?それは無理だろうと思う。でも、まあ…本当のちゃんを見れば、多少は

 考えが変わるんじゃないかな?」

「本当の彼女?…気弱で要領の悪い女の子でしょう。」

 

そう言ったら、木更津も柳沢も意味深な笑みを浮かべてコートに去っていった。

何だって言うんです、二人とも。

 

そういえば…僕とした事が、パソコンの電源を切っていないような気がしますね。

 

そう思った僕は、部室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

はい、見ての通り連載モノです。多くても十話くらいで終われるといいんですが…(汗)

今回の主人公は気弱っ子デス。観月さんのヒロイン、どうにも気が強いか不思議ちゃん

なので、ちょっと異色なものにしようと。結構私にリンクする子なので、書いてて楽しい

ですね。なるべき十話くらいに納めるように…しよう…はい。

 2003・3・1 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

 

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