飾りのついたドアノブを開け、部屋の中に入る。

東方司令部に居た頃から使っているソファに、赤と黒の塊が見える。

 

 

(…鋼の。)

 

丸まって寝ていたせいで見えなかった金の髪が、寝返りを打つことでソファに零れる。

ソファに金の河を描き出すそれは、私には無い色だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ゆっくりと足音を忍ばせて近づき、その髪に触れる。

 

その髪は見た目に反して思ったより痛み、ごわごわとした感触が手に残った。

旅をしている間、手入れが行き届くわけでもない。仕方のない事なのだろう。

 

「鋼の…起きているのか。」

 

小さく声をかけるが、起きる気配は無い。

ふぅ、と小さくため息をつき、自分の机へ戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……大佐ぁ…、アンタってすげー根性悪ぃな。」

 

不服そうな声がソファの所から上がる。

先ほどまで起きる気配すらなかった本人が、やれやれといった調子で起きあがる。

どうせ、狸寝入りだろうと見越してはいたが。

 

「私が?…日ごろ旅をしてお前も疲れていようと思ったのだ。それをゆっくり寝かせて

 おく私の心遣いは、そのように言われるものだろうか?」

 

私のわざわざ持って回る言葉は、まだ幼い相手に苛立ちを覚えさせる。

 

「そう言う所が根性悪ぃってんだよっ。」

 

つかつかとこちらに歩み寄り、溜まった書類を横にどけて机に乗ってくる。

 

「…行儀が悪いぞ、鋼の。」

「うるせー。気にしてられっか、そんなの。」

 

捨てるように言うと、相手の唇が重ねられる。

 

幾度目かも忘れるほど慣らされたこの感覚に瞳を閉じる。

歯列を割って滑り込んでくる舌の感覚を享受しつつ、こちらからも舌を絡める。

 

 

声が漏れ、息が苦しくなったのか相手が先に唇を離す。

 

「…人を起こす時は、コレくらい情熱的に起こせっつってんの。無能大佐。」

 

肩で息をして、唇をぬぐう。

愉快そうに見上げてやると、その瞳に再び強い熱が宿る。

 

「人をこれしきで無能と呼ぶとは心外だな。鋼の。…それよりも用件は何だ?

 まさかこんな事をするためだけにわざわざ戻ってきたのではあるまい?」

「こんな事をするためだけだ、と言ったら、あんたはどうするんだ?」

 

私と向かい合わせになるよう机に座り、首に腕を回され引き寄せられる。

 

「さてな…。」

「…そう言うところ、すげー腹立つ。」

「何も、鋼のに気に入られようと生きているわけではないのでね。」

「ったりめーだ。オレのために生きるとか言ったら本気で殴り飛ばすぜ?」

 

耳朶を噛まれ、背筋に甘い何かが走る。

 

口元を吊り上げて笑い、それを自らの中で誤魔化す。

 

 

 

 

「本気で殴り飛ばす?…それは、私に勝ってから言うべきだな。」

 

「るっせ、あんな泥仕合、勝ち負けもねーよ。」

 

「お前は奇襲作戦が得意だからな。おまけにすばしこい。

 おかげで私もあれほどまで被害を大きくする羽目になったんだ。」

 

「オレのせいにすんなよ…大佐がところ構わず炎使うからいけねーんだろ?」

 

「小さくて目標が見えずらいのだから、仕方あるまい。」

 

「誰が超ミニマムドちびだっ!?」

 

 

 

 

 

 

こんな時、ふいに頭をよぎるくだらない考え。

 

鋼のとの関係を示す名称とは何なのだろうか…。

 

 

 

 

友とは違う。

戦友と言った方がまだマシだが、そのような言い方も完全には当てはまらない。

 

だからといって、恋人というわけでもない。

だからといって、敵対しているというわけでもない。

 

 

どの名称が、この不可解な関係を一番よく示しているのだろうか。

 

 

 

 

「…鋼の、お前はどう思う。」

 

「ああ?何が。」

 

「私たちの関係は、一体『何』なんだろうな。」

 

「いきなり萎えるような事言い出すなよな。」

 

 

 

身体に感じる熱が、思考を意識の片隅に追いやっていく。

 

だが、返答は確かに聞こえた。

 

 

 

「オレと大佐の関係ね。…他人だろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

…なるほど、それはしっくり来る。

 

 

 

 

 

 

「他人か……傑作だな、それは…。」

 

 

次の瞬間襲い来る波に意識は寸断される。

 

他人…。

 

確かに、それ以外はない。

幾ら密接になろうと、幾度身体を重ねようと、その枠からは出ない。

危うく、いつ別れが来るかも分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どれほどの時間が開いたか。眩しさに目を瞬かせながらゆっくり様子を見る。

私の黒の髪に、金のが織り込まれたような紗を作る。

 

 

どんなに絡み合い、一つになろうとしても、『他人』…いつか解ける。

 

 

「…そろそろ汽車が出るぞ。鋼の…。」

 

呟いてみるものの、本気で起こそうなどとは思わない。

 

 

 

光を受けて輝く金の髪、

光を受けて濡れる黒の髪、

 

 

 

いつかは別れ行く他人。

 

いつかは別れ行く他人だからこそ、求め合う…。

 

 

 

 

今一時は、このままで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

やっちまいました。鋼…しかもいきなりCPですよ。祭屋ちゃんに叩きつけました。(笑)

ホントマジ駄文になった☆一応エドロイなんだけど…見えます?(爆)大佐視点です。

定番ネタで攻めてみました。はい。その上はっきり記述してないんで表に置きます。

その上資料が手元に皆無なもので全てイメージ(笑)指摘があれば是非お願いします☆

鋼も…ちょっとずつ増やすかな…。アイさんとか…☆

 

 2004・6・7 月堂 亜泉 捧

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