「ひどいよ、侑士!」

 

 

 

 

そう言った彼女の瞳は濡れていた。

 

外に降る雨のように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイニーブルース

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…仕方なかったんや…もう、戻られへん」

 

「…そう…よね…」

 

 

 

 

沈んだ彼女の声が、俺の耳に悲しく響く。

 

 

 

 

「…、ごめんな」

 

 

 

 

 

「もういいよ…。」

 

 

 

 

 

 

「せやけど…。」

 

 

 

 

 

 

「いいってば。もう、過ぎた事だもん…」

 

 

 

 

 

 

 

彼女はふっと立ち上がり、玄関に向かった。

 

 

 

 

。」

 

 

 

 

 

 

「何…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…箒よりも掃除機のがえぇで。」

「あぁ、そっか。でも窓開けられないよ?」

「ハンディのがあるやろ。そっち使い。」

「分かった〜。」

 

が怒っていた理由は。

彼女が大事にしていた陶器の置物を、俺がうっかり割ってしまったからだ。

男の子と女の子が並んで仲良く立っているその置物、

『私たちもこれくらい、ずっと仲良しでいたいね』

と言うのが口癖になるほど彼女が気に入っていたのだ。

 

「切ないなぁ…顔も粉々…」

「ゴメン言うたやろ」

「別に責めたわけじゃないんだけどね」

「しゃぁないわな…形あるもんはいつか壊れる、んやから。」

 

大きな破片を集めるカチャカチャという音がぴたっと止まる。

 

「…言うことがおばあちゃんみたい。ひょっとして侑士、おじいちゃん子だった?」

「まぁ、じいちゃんは嫌いやなかったけど…って何でじいちゃんやねん」

「あてっ、本場のツッコミ入りました〜」

「ハリセンのうて残念やったなぁ。」

 

こうやって、ふざけあって。

随分長く付き合ってるのに。

 

はっきり言って、色気がない。

恋人、らしいことは滅多になく、せいぜいソファに二人で座るくらい。

それを、不満と言うわけじゃない。

 

 

 

でも……。

 

どうして、なんやろうな…。

 

 

 

 

「何で、寂しいんやろ。」

 

「は?何か言ったぁ?」

 

掃除機をかけていたお陰で俺の声が聞き取れなかったらしく、ワンテンポ遅れの

少し張った声で返事が返って来た。

 

「…いやいや、何でもあらへん。」

「うそぉ。今絶対なんか言ったよ。」

 

掃除機を止めて俺の眼前に来て見つめる。

 

あーもう…余計言い辛いやんか。

 

「…何でもあらへんっ…」

「わぁっ!?」

 

ぐいっと細い腕を引っ張って俺の方へ。

しっかりその華奢な身体を抱きしめた。

 

「侑士…ッ…。」

「…聞いてくれんな、それ以上。」

「……ん。」

 

 

何や知らんけど、急に寂しなったんや…。

 

 

 

 

 

……愛し過ぎて?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、とりあえずは…この雨のせいにしとこか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

梅雨のころに上げれば丁度いいんじゃねぇの的作品(笑)例の歌が題材なので悲恋かと

思いきや意外に意外、ちょっとくだけてからのラブラブ話に落ちつき…。

まぁ、月堂の文才であればこの程度です(笑)つーか書き方をだいぶ忘れてるな…。

精進しなければ…!(今頃デスか)あと更新スピードの向上を…(汗汗)

 

 

 2005・5・2 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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