STER・PIECE

 

澄んだ夜の空気。

東京でも、少し郊外を離れれば綺麗な星空が見られる。

 

「星のかけらが欲しいな。」

 

は白い息を吐きながら夜空を見上げ、呟いた。

いつもの事だが、彼女は突拍子もない事を言う。

俺じゃ考え付かない事を言っては、俺を困らせる。

 

「星のかけらは、単なる石くれなんだぞ。」

「それでも、いいの。」

 

ぬるくなり始めた缶コーヒーで冷え切った手の暖を取る。

 

「どうしてそこまで、星のかけらに拘るんだ?」

「んー、何でだかわかんない。」

 

ビュウッ、と肌を切り裂くような冷たい風が吹く。

あまりに冷たい風は、鼻の奥をつんと痛くさせる。

 

「…似てるからかもしれない。」

 

不意にが口を開く。

 

「何がだ?」

「私に、星のかけらが。」

 

空を見上げたの表情は読み取れなかった。

声も普段と同じ調子で、俺にはが何を思っているのか、分からなかった。

 

「単なる石くれで宇宙のゴミでしかない。でもね、太陽や大気の力を借りて、

 きらきらと輝くの。」

 

くるっと振り向いた

その瞳は、優しい光に満ちていた。

 

「だからね、そんな星を、ほうっておけないってゆーか…あー、何て言えばいいの?」

。」

 

ぽん、と頭に手を置く。

 

「な、何?」

「優しいな、は。」

「へ?全然そんな事ないよ…。」

「…でも、謙虚過ぎる。」

「そおかな?」

 

俺は、こんな時にいい言葉を言えない自分がもどかしかった。

 

は、星のかけらなんかじゃない。

自分からどんどん輝こうと頑張っている。

 

 

「…は、もっと自信を持て。」

 

こんな、不器用な言葉しかでてこない。

 

「うん。ありがとね。」

 

にこっと笑って、俺をまっすぐに見る。

眩しいくらいの…笑顔で。

 

「でもね、星のかけらよりもっと欲しい物があるんだ。」

「…なんだ?」

 

とん、と俺の胸を叩く。

 

「この胸、少しの場所でいいから私を置いて?」

「?」

「私の胸には、ほぼ埋まっちゃってるけど…その気持ちで。」

「???」

 

まるで謎かけのようなの言葉に、俺はひたすら首を傾げる。

 

「もうっ、鈍いなぁっ!!」

 

頬を膨らませて怒り、くるりと背を向けてすたすた歩き始めた。

 

「おい、。」

 

呼びとめるが早いか、はぴたりと歩みを止めて、

 

 

「私はぁっ!!手塚国光が好きなのっ!!」

 

 

夜空に向かって思いっきり叫ぶ

 

一瞬、訳がわからなくて、

 

理解したらその言葉は全身を駆け巡り、

 

 

俺は、顔を真っ赤にしていた。

 

 

「…ホント、鈍いんだから…。」

、俺は…。」

「あーあーあー!!言わないで言わないで言うな!!分かってる!!

 絶対「迷惑」だの、「俺には分からん」だの、「そう思ったことはない」だのって言葉が

 出てくるから!!はい、今のはさらっと忘れて!!」

 

バタバタと手足を動かして、必死なを見て、思わず俺は吹き出した。

部活の奴らが見たら、面白がって言いふらしそうだな、とか思いつつも。

 

「わっ、笑う事はないでしょう!?私の一世一代の告白を!!」

「その一世一代の告白を、相手の返事も聞かずに終わらせる気か?」

「返事なんて目に見えてるからっ!ただ自己満足だもん!!」

「じゃあ、俺も自己満足で答えさせてもらう。」

 

すたすたと大股での元に近づき、その耳元に、

 

「俺は、が誰より好きだ。」

 

小さな声で囁く。

 

「っ…!!」

は大声で告白したからな。俺は逆にした。」

「はっっ、反則!今の反則だよぉ!!」

 

顔を真っ赤にして怒るを、すっぽりと腕で包み込む。

一度吹っ切れると、人は結構すごい事をやってみせると思う。

 

「…凄い、反則…。」

「ああ…そうだな。」

「…もーいーよ…。」

 

涙声になってゆくを、更に強く抱きしめて。

髪にそっとキスを落としてから、空を見上げた。

 

 

星降るような夜空。

あの星のひとつぐらい、の物にしてやりたい。

俺は、

 

星を、手にしたから。

 

 

 

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後足掻き

…何がしたいの?自分…(謎)突発で書く私はやはりダメですねー。もっと真面目に

プロットを立てましょう。(去年からずっと言ってる…。)星のカケラは我がHPネームの

一部ですが。何か欠片、という言葉に強く惹かれる私。完全じゃなくて、足りないパーツ

があるって人間みたいじゃないですか。それを徐々に集めていくけれど、その欠片は

自分一人で探せて埋まる物じゃなく、他人から貰ったり、共有する。何だかその感じが

素敵だなぁと。でもそれは上手く表現できず。抽象的過ぎるのかなぁ、やっぱり。

なにはともあれ。修行…(出来るんだろうか??)

 2003・1・3 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

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