High Handed

 

 

 

アホで高飛車。

あー、最強帝王だわ、こいつ。

それでも私は何となくつるんでたりするから、変なもんよね。

 

「何言ってやがる、俺はこんなじゃねぇってんだろ、ああーん?」

 

この顔に似合わぬ横柄な態度。

こいつに紳士という言葉を覚えさせるのは不可能に近いね。絶対!!

 

「ざけんな跡部。これに決まってんでしょーがっ。」

 

かく言う私も頑固だから負けないけど。

跡部は呆れた風に、

 

「行くぞ、樺地。」

「ウス。」

「こらーっ、逃げんな跡部!!」

 

なんでも困ると樺地を呼びやがって…。

樺地はあんたのドラ●もんじゃないのよっ!

 

「まーま、落ち着きぃや。」

「止めるな忍足!!これが落ち着いていられるかぁっ!!」

「結局何したのさ。」

 

向日が飄々と聞いてくるから、私は正直に答えましたよ。ええ答えました。

 

「「心理テストぉ??」」

 

二人でそうハモった後に、見事に溜息までハモらせやがったこの二人。

 

「だからさ、心理テストをやってやったわけよ、『天下の跡部様』に。そしたらさ、

 『どこかズレた自信過剰な、非凡人』って出たわけ。見事に的を射ていると思わない?」

「あー…。」

「確かにテニスの腕は認めるよ。部長やっているだけのことはあるし?だけどこの解説。

 読んでみそ向日!」

 

そう言って向日に雑誌を渡す。

 

「マネすんなよ。えーっと…?

 『貴方には非凡な才能を感じます。その才能は他者を惹きつけ、集団のリーダーとも

 なれるでしょう。が、しかし。少々ズレた美的感覚と世間知らずさで周囲の人は驚く

 事でしょう。自信過剰で高圧的な部分も否めません。それを受け入れてくれる場所が

 あれば幸せですが、それも最終的には一部の人しかついて来れなくなります。』」

 

雑誌を見つめて沈黙する忍足と向日。

 

「ね?ね?跡部のまんまって感じでしょ??」

「…で、跡部はどう反論してん?」

「『俺はごく真っ当な道を歩んでいる。他のやつが俺について来れないだけだ。』って。

 あまつさえ、『俺はこっちの方だ。』って、『天才的なカリスマ』の方を選びやがった

 の!!ありえないから!フッツーに!!」

 

そりゃあもう首をぶんぶんと振ってみせる。

 

「ま…確かにある意味『天才的なカリスマ』やけどな…。」

「それは樺地限定で適用っしょ?」

「ホントに…。自信過剰もいいトコよ、あいつ。」

 

溜息をついて跡部を見ると、こっちを睨んでたり。

忍足と向日はそそくさと練習に戻って行ったけど、私はガン飛ばし返す。

 

ホント、黙ってりゃなかなかの見れる男なのに。

はあ…世の中って上手く行かないものよねぇ…。

そう、この心理テストの結果とかも。

 

「先輩?そんなトコに突っ立ってると危ないですよ?」

「ん?あー、長太郎。ごめんごめん、邪魔だった?」

「いえ。そうじゃないですけど。どうしたんですか?ボーっとしてたみたいですけど。」

 

こういう可愛らしい後輩がいると癒されるわー。うんうん。

思わず愚痴とかこぼしたくなる(いい迷惑)。

 

「跡部といるとホント疲れる…長太郎は一緒にいても癒されるからいいわー。」

「はは…跡部さんは、先輩に癒されてるみたいですけどね。」

「はっ!!?」

 

跡部が癒されてる!?私によって!?

絶対違うってそんなの!だって私といると文句や高飛車な台詞の応酬で大変なんだけど?

 

「何もそこまで驚かなくても…。」

「いや、普通に驚きますよ長太郎サン。」

「だって、気付きません?どんなに機嫌悪くても先輩と話した後は妙にすっきりした顔に

 なってるの。俺、意外とそういう気配には敏感な方だから、分かりますよ。」

 

…うーん…そうかなぁ…。

あ、でも。

 

 

『何しに来やがった。』

『うわ、スッゴイ不細工。何その膨れっつら。かっこ悪。』

『うるせえ。てめえには関係ねえだろ。』

『いや、スゴイあるし。っつか跡部がそんなだとみんな調子狂うじゃん?

 まあ私はその方が少しは大人しくていいかな、とは思うけど。とりあえず元戻れ。』

『…喧嘩売ってんのか?』

『あんたが売ってるだろ、むしろ。いつも特売掲げてるくせに。私が大量に買ってやる。』

『……ホントうぜえやつ…。そこどけ。』

『はぁっ!?なんであんたのためにどいてやらなきゃなんないのよ!』

『てめぇごときが俺の通り道塞ぐんじゃねえよ、タコ。』

『んなっ、跡部―っ!!』

 

 

 

「…あー。アホっぽい事ならよくやってるけど。」

「跡部さんにそこまで怖いもの知らずに言えるの、先輩ぐらいですよ?それに、部員で

 さえ多すぎて邪魔だ発言する跡部さんが、先輩だけは何も言わないじゃないですか。」

「それは諦めだろ。多分。今更一人増えてもどうってコトないだろうし。」

「先輩はコートにまで入ってきても怒らないですよ?」

 

それはー…なんだろうね。

 

「長太郎―!何油売ってんだ!」

「あっ、すいません宍戸さん!じゃあ先輩、俺はこれで。」

「うん。色々サンキュ、長太郎。」

 

律儀に会釈をして去って行った長太郎。

 

「さて」と視線を移すと、ベンチへ偉そうに座る跡部。

どんな格好でも偉そうに見えるのは、ある意味あいつの才能かもしれない。

 

それでも、横顔は端整でカッコイイとか、

顔を覆うようにした手は、男とは思えないほどすらっとしてて綺麗とか、

少し甘い低めの声が響いてドキドキするとか…。

 

あー。ハラが立つ。

何より、自分自身に。

 

と、当の本人が近付いてくるわ。うわ、なんかやなタイミング。

 

「日陰で涼むとはいいご身分だな、ああん?」

「当たり前でしょ。私はテニス部員じゃないんだから。このクソ熱い中スポ根なんて

 やってられますかっての。」

 

人の話も聞かずに隣に座るし。ぎゃー、近いっ!

意識してない時は別段平気なのに、一度意識し出すともう止まらない。

 

「…ねえ跡部。」

「…。」

「なんで私、ここにいてもいいの?」

 

答えが返って来ない事なんて分かってる。

それでも何となく。

どうしても訊いてみたかった。

 

「…てめえが………だから…。」

「は?何、聞こえない。」

 

珍しく歯切れの悪い跡部。

ちっと舌打ちして、

 

「鈍い女。」

「はっ!?何それ!」

「しつけえな。」

「まだ2回しか聞き返してないし!何なのよ跡部!」

 

跡部はすっと立ちあがって、樺地を連れてコートに戻って行ってしまった。

 

「何なのよ…。」

 

ふと見ると、そこに置かれたのは跡部のラケット。

跡部のラケットは樺地にさえ触らせる事はない。

なのに、こんな所に無防備に置いてある。

 

 

 

 

「…っ、たく、素直じゃない、なぁ…バカ跡部…。」

 

なぜかぽろぽろ零れ落ちる涙を拭ってから、私はラケットを持ってコートへ向かった。

 

相変らず高飛車で人を見下したような笑いを浮かべた、素直じゃない彼の元へ。

 

 

 

『結果』

貴方は、とても頑固で、向こう気が強い部分もありますが、それは優しさも含まれて

いることは、みんなが知る事です。ご安心を。誰からも好かれる貴方ですが、なぜか

『どこかズレた自信過剰な非凡人』タイプの人と縁があります。それは貴方の優しさ

は、このタイプの人を癒してくれ、また貴方は人の隠れた良いところを見つけるのが

得意なので、このタイプの人とも上手くやって行けるのです。もし身近にこのような人が

いた場合、最高のカップルや友人となることは間違いないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

わーっ、なんか跡部ドリのくせに跡部が少ないーっ!!むしろ鳳がいいとこ掻っ攫い!!

あの人は動かしやすいうちの一人だから…。忍がだめならこいつだ!みたいな…。

にしても跡部がエセだ…。跡部どないなんかわからへんねやもん!!でも何となくは

ラブでしょ?(聞くな)題名の意味は『高飛車』…うわー、ザッツそのまんまテイスト☆

でも跡部さんにはこれぐらい強気でないと対等に渡合っては行けませぬな。多分。

そんな言い訳をしつつ。逝ってきまーす。

 2003・2・25 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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