むかつく。

別にこの年になってまで、誕生日がどうのとか言う気は無いけど。

 

 

 

クリスマスバースディ

 

 

 

「はあ。」

 

一人、ため息をつく。

今日は12月24日。

 

皆にとってはクリスマスイブ。

オレにとっては、13の誕生日。

 

お袋は嫌がる親父を無理矢理着替えさせて食事に行った。

奈々子さんは友達とクリスマスパーティだと言って朝からいない。

だから結局、うちに残ったのはオレとカルピンだけ。

 

べつに、いいんだけどさ。

騒がしいのって好きじゃないし。

 

 

ぴんぽんぴんぽんぴんぽーん

 

連続でチャイムをならされる。

オレの膝でぬくぬくしていたカルピンをどけて、インターフォンを取る。

 

「…ハイ、越前ですが…。」

『あっ、リョーマ!?あがっていい??いや、むしろ上がらせてもらうよ!!?』

 

やっぱりだ。

 

…。」

「ういっす、ちゃん参上☆しけたツラしてるねぇ、リョーマ?

 あ、おじさん達いないんだ?どうりで静かー。」

 

 …オレの腐れ縁的幼馴染。

とにかくいつも元気で騒がしい、そしてマイペースなお調子者。

 

「何で来たんだよ。」

「いや、来たかったから。ほら、うち皆仕事で誰もいなくてさ。寂しくって。」

「一人でも騒がしいのに。」

「ウサギは寂しいと死んじゃうんだぞ!」

「誰がウサギ?」

「私。ほら、ウサギ年生まれだし。」

「…。」

 

何を考えてるんだか…いや、かえって分かりやすいのかもしれない。

言いたいことは何にも包まず、そのまま口に出すから。

 

「それよりさ。じゃんじゃじゃーん。これはなんでしょう!?」

 

誇らしげに掲げるのは、箱。

 

「…ケーキ。」

「うーん、惜しいっ。」

「じゃあ開けてみなよ。」

「いいんですかー?開けてしまって。」

「…。」

「いっくよー。じゃーん!」

 

パカッと開けると、やっぱりそこにあったのはケーキ。

 

「おっと、今『なんだ、ケーキじゃん』とか思いやがったな!よく見てみなって。」

 

よく見たって、どこがどう違うのかって分からない…。

 

「あっ…。」

「ふっふっふ、気付いたかね?少年。」

 

デコレーションの、メッセージが書かれた板チョコ。

 

 

―――HAPPY BIRTHDAY RYOMA Age therteen―――

 

 

「今の時期はクリスマスケーキばっかりだからね。ハンドメイドのところへわざわざ

 行って作ってもらったんだよ。しかもめちゃ甘のめちゃうまだから!」

「…。」

 

毎年毎年、ほぼクリスマスと一緒に祝われていた、俺の誕生日。

オレの気持ちを察してくれた

何だかむず痒くて、そっぽを向いて呟いた。

 

「まだまだだね。」

「んー?何??」

「別に。」

「あ、じゃあロウソク!えっと、大きいの一本に小さいの三本ね。…電気消すよー。

 …Happy Birthdey To You……。」

 

 

ささやかだけど、暖かい誕生日。

 

まさか、こんなに嬉しい日が来るとは思わなかった。

 

サンタなんて信じちゃいないけど、

クリスマスも、ちょっとはいいかななんて思えてくる。

 

「さあどうぞ、消して、リョーマ!!」

 

ふっ、とろうそくを吹き消す。

 

一瞬、暗くなるその時に。

 

 

「…!??」

 

 

パチン、と明かりをつけると、さっきのロウソクの炎が移ったように、

の顔は赤かった。

 

「誕生日プレゼントも、クリスマスプレゼントと兼ねて頂くんだから、大きい物

 じゃないとね。」

 

にっ、と口の端を上げて笑う。

 

「ひっ、卑怯だよっ!!」

「何言ってんの。これぐらい貰ってもバチは当たらないよ。」

 

ロウソクを消したとき特有の焦げ臭い匂いは、シャンプーの香りによって絶たれた。

 

「ウサギは寂しいと死んじゃうんだぞ。」

「はいはい。」

 

 

分かってるよ。

 

が誰よりも寂しがり屋だって事ぐらい。

 

幼馴染、なんだし。

 

 

 

何より、オレはが好きだから。

 

 

「ずっと、側にいてやるよ。」

 

 

 

外は、しんしんと雪が降り始めていた…。

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

めちゃくちゃ早く仕上げた、リョーマバースディドリム。企画は出来ないからこれで

勘弁してください。どうにもリョーマを書くときはリョーマを振りまわしまくる主人公

なんですね。「季節はずれ〜」の時と同じ主人公かな??性質的に。そしてフェイント

大好きリョーマ。いいですよねー、さり気ない告白って(萌)それにしてもまだ

リョーマが上手く書けない…。頑張ろう、自分。ハイ。

 

 2002・12・24 月堂 亜泉 捧

 

 

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