ポーンやルーク、ナイトやビショップ、クイーン。

それらの駒を使って、相手の駒を奪ってゆき、キングを落とすんだ。

まるで、『何か』のようじゃない?

 

 

 

 C

 

 

 

 

「また負けたーっ、強いにゃー、不二は。」

 

やけになって駒を投げる菊丸。それを笑いながら拾い上げる不二。

 

「クスッ。英二は弱すぎるんじゃないかな。」

「むっかー!何だよそれっ!」

「何やってるんだ?二人とも、楽しそうだな。」

 

部室へ来た大石がひょいと覗きこむ。

 

「あ、オハヨー、大石っ。」

「チェスだよ。姉さんが僕にチェス板をくれてね、英二がやってみたいっていうもから。

 対戦がてら教えつつ、みたいにね。」

「けっこー面白いんだ。大石もやらなーい?」

「いや…俺は、遠慮しておくよ。」

「?…まいーや。不二、もっかい戦やろーぜ!」

 

 

 

チェスはね、面白いんだよ?

ポーンやルーク、ナイトやビショップ、クイーン。

それらの駒を使って、相手の駒を蹴散らし、キングを落とすんだ。

まるで、『何か』のようじゃない?

 

 

まるで何かのようって言われても…何?

 

 

それを答えちゃつまらないだろう?

 

気になるぢゃんかよー。教えろよっ不二いっ。

 

 

教えなくてもそのうち分かるよ。

 

そのうち、っていつ?

 

さあ?英二次第じゃない?

 

オレ次第?

 

うん。

 

…分かんない。

 

 

じゃあ今はまだ知らなくてもいいことなんじゃない?

 

 

でも、気になる。

 

そう?

…じゃあ、教えてあげようか?

 

ホント!?

 

うん。

 

教えて、教えて!!

 

後悔しない?

 

後悔するものなの?それって。

 

うーん。場合による。

 

…。

 

今日は、教えないでおく?

 

 

 

いや、今日知りたい。だから、教えて?

明日になったら忘れそうだからにゃー。

 

 

 

…いくら忘れ物の多い英二でも、

これは明日も明後日もずっと、

忘れないと思うんだけど。

 

失礼だなーっ。

でも、ずっーと忘れないってどういうこと

…んっ…!

 

 

 

 

「こういう事。」

「ふ、不二、今、えぇっ??」

「クスッ。分かった?チェスに似ている『何か』。」

「え?あ?にゃ?うえ?」

「恋、だよ。」

「こっ、恋?」

「うん。…相手のもの ―駒― を1つ1つ僕のものにして行って、

 最後にはその心 ―キング― を捕らえる。

 …ね?」

 

にこっと邪気のない笑みを浮かべる不二。

菊丸は少々目線を落として、

 

「不二?」

「なに?」

「相手って…。」

「もちろん、今僕の目の前にいる…英二、君だよ。」

 

そう言われると、菊丸は一瞬で顔を赤くして、

 

「…オレの負け。もう手はないよ。」

「クスッ…素直で可愛いよ、英二。」

 

 

 

 

 

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後足掻き

頭沸いてたんです。いやむしろ、貧血で足りない血液を脳みそで補っていたんです。

何でこんな物を書いたのかというと。古い物を発掘したんですねぇ…。まだ観月に

はまる前ですから、そんなに不二を毛嫌いしていなかった頃のモノかと。にしたって…

チェスがやりたかったんです、この時!それでピピーンと思いついたんですよね。

もういいです。鼻笑してください。シュギョーシュギョー。

 2002・12・25 月堂 亜泉 捧

 

 

 

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