空の下の君と地の上の私

 

 

ため息。

最近何回ため息ついてるだろう。

 

これって、恋患い…ってやつなのかな。

不二君…。

 

「不二くーんっ☆」

 

私の心の声とはまったく違うテンションで同じ言葉が聞こえる。

 

「……。」

「ん?なあに。」

「ショット打ってるときに呼びかけるのは…よしたほうがいいと思うよ。

 やっぱり、集中力とか欠けるだろうし…。」

「何いってんの。私の応援でショットの威力が上がるに決まってるじゃない。

 きゃあーっ!!不二君カッコイイッ!!」

 

彼女は、小坂田 。不二君が好き…なんだよ。

まあ、見るからにバレバレだけど。

ため息をまたひとつ。

すると向こうから聞こえてくるのはまたも黄色い声援。

 

「きゃあっ!リョーマさまカッコイイ!!」

 

1年の小坂田 朋香ちゃん。この二人…見事に血縁って感じ。

こうしてまた、ため息をひとつ。

 

『ため息をつくと、幸せが逃げて行く』

 

なんて言うけど、果たして私に逃げていくだけの幸せが残ってるんだか。

 

私は昔から消極的なほうだったと思う。

好きなものでも、ほかに欲しい人がいたらあげてしまうし、

嫌なことだって頼まれれば断れなかった。

 

さんって、いい人だね。」

 

そう、いつもいい人止まり。

考え込むのも良くない癖だな…。

一方は、私と違ってすごく積極的。

だから、憧れるし、羨ましい。

私だったら不二君に好きだなんて、あんなに大声で言えないもん。

 

、私先に帰るね。」

「ええっ?不二君応援していかないのー?」

がいればきっと大丈夫よ。」

 

私はそう言ってテニスコートを後にした。

 

 

 

あー…最悪。

すごいやなやつじゃない、自分…。

何か卑屈になってきてる。

 

もういいや、早く帰って寝よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう…一番乗り…か。」

 

翌日。

がらんとして誰もいない教室。

これはいつもと変わらない。遠くからの電車通学だからこれ以上遅くは来れないのよね。

ぱちぱちっ、と電気をつけて、自分の席に荷物を置く、と。

 

 

「早いね、さん。」

 

いつもは遠くで聞く声が、すごく近くに響いた。

 

「ふっ、不二君っ、お、おはよっ。」

「うん、おはよう。」

 

空気が一気に変わったような気がした。

そして、私の心臓は朝の体に悪いだろうぐらいドキドキと跳ねていた。

 

さんって確か、電車通学だったよね。」

「う、うん。」

「ふふ…そう堅くならなくてもいいのに。」

 

むっ、無理ですぅ〜!!

あああ、心臓の音が聞こえてしまいませんようにっ。

 

「そういえば、よくテニス部へ応援に来てくれるよね。」

「あ、うん…。」

 

あなたを見るために…なんて言えないって…。ならともかく。

 

「いつも元気が出るよ。ありがとう。」

 

お世辞だって分かってるくせに、自分の心は躍り上がっちゃう。

やっぱり私は、不二君が好きなんだなぁ…って再確認。

 

「おはよーっ。…ってああーっ!!ちょっと、ヌケガケなしーっ!!」

 

あらら…。

なんだかほっとしたような、残念だったような。

でも、嬉しいな。ちょっとだけど、不二君と二人っきりで会話できたし。

今日は何かいいことありそう…。

 

 

 

 

 

 

「ねえっ、ちょっといい?」

「えっ、ちょっ、何よ、急に…。」

 

ぐいぐいに引っ張られ、階段裏に連れて行かれる。

 

「で、…何の用事?。」

「告白しようと思うの。」

 

ドクン、と心臓が鳴って、嫌な汗が出る。

祈りながら、私は質問を舌へのせる。

 

「告白って…誰に…?」

「不二君に。」

 

 

 

 

 

 

ザクッ、と音がした。

 

きっと。

 

 

 

 

 

心臓が痛い。

 

 

刺されたみたいに。

 

 

 

 

 

助けて欲しい。

 

 

…誰に?

 

 

 

 

 

止めなくちゃ…。

 

 

何を?

 

 

 

 

 

告白を。

 

 

…どうして?

 

 

 

 

 

 

不二君が、好きだから。

 

 

「…め…。」

「えっ?」

「だめ…。」

?」

 

「私はっ、不二君のことが好きなのっ!誰よりももっとずっと、不二君が好きなのっ!!

 だからっ、不二君に告白しちゃだめなのっ!!!」

 

 

早口で畳み掛けるように言った後、急に恥ずかしくなって、顔を赤くして俯く。

 

「っ…あはははは!!」

「!?」

「あはっ、はははっ、はははっ!!あー、だめっ、も、くるし…ッ!あははははは!!」

 

息切れするまで笑うを、私はわけも分からずボーぜんと見ていると、

 

「聞いた?熱烈な告白。」

「…うん、ばっちり。」

 

顔を見せたのは、不二君ご本人。その顔は少し赤くなってる。

 

「あーあ、もう。私っていい人ねー。」

「え、、どういう事?」

「私、気づいてたのよね。不二君が私じゃなくていつもを見てたことも、

 が不二君を好きだってことも。

 今朝…さ、二人が話してたじゃない。あの時、二人とも幸せそうだったからさ。

 

 でもこのまんまじゃ絶対付き合いそうにないから、ハッパかけたのよ。

 じゃ、あとはお二人で〜☆」

「ちょ、ちょっと!」

 

二人、沈黙のままそこに立ち尽くす。

 

「…そっち、行ってもいい?」

「う、うん。」

 

不二君がそばにくると、またドキドキが高鳴る。

 

「…なんだか、情けないね。」

「えっ?」

「女の子の方から告白だなんて。」

「そっ、そんな…。」

 

慌てていると、ふわりと何かが肩に触れ、次の瞬間、優しく抱きしめられる。

 

「ふ、不二君…。」

「好きだよ。…。」

「…はい…。」

「名前で、呼んでくれる?」

「…うん。」

 

これからもまた、ため息ついちゃうかもしれない。

でもそれは、諦めや悲しみのため息じゃなくて。

 

愛しさのため息。

 

周助…貴方が…愛しいため息。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

うわわわ…纏まりねぇ!!リクしてくださったkana.さま、こんな不二ですいません…。

題は、「同じところへいるのに遠い」という意味でつけてみました。題って難しいですね。

いつも題で悪戦苦闘しているような気もしますね、私…。発案より考え付くの遅いかも。

それと。親友が出張り過ぎな気がします。いえ、出張ってますね。しばらくドリムかいて

なかったーとか…言い訳になりませんので…。修行します。はい。

リクありがとうございました☆これからもがんばります。はい。

 2003・6・17 月堂 亜泉

 

 

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