貴女の事ばかり考えているから。

 

僕はこんなにも愚かになってしまっているのかもしれない。

 

 

 

それでもいいとさえ思う。

貴女が好きだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

THINKING

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわー…雨続くね〜…。コートびしょ濡れだよ?」

 

部室の外の光景を見て呟きながら、大きな木製の机に寝そべる

部員でもマネージャーでもない帰宅部の彼女だが、持ち前の人懐こさでいつの間にか

聖ルドルフ男子テニス部に馴染んでいた。

 

「仕方ありませんよ。季節外れの台風が近づいてますからね。

 それよりは帰らなくていいんですか?あまりに酷くなると帰れなくなりますよ。」

 

僕は部室の隅に置いたパソコンに向かいながら相手に忠告をする。

 

「あ〜…うん。」

「何です、その歯切れの悪い返事は。」

「傘置いて来た。」

 

相手の返事に思わず素早く振り返り、暢気に机の上で雑誌を読んでいる相手を見る。

 

「何ですって?…馬鹿ですか貴女は。朝から小雨が降っていたというのにどうして

 傘を置いてくるんですか?それから、机の上に寝そべらないで下さい。」

「さてここで問題です。1・傘を本気で忘れた。2・傘をわざと忘れた。

 3・傘自体持っていない。…さて、正解はど〜れだ。」

 

にこにこと満面の笑みを向けながら出題する彼女を一見してから再びパソコンに向き直り

 

「3ですか?」

「ブブー。…って、なかなかシツレーなやつだこと、観月ちゃんてば。」

「そんなこと言うんだったら元から選択肢に入れないで下さい。」

 

腹筋を使って机の上からひょいと飛び降りて、白くて細い指で僕を指差す。

 

「もー。性格わっる〜い。正解は…2に良く似た4!観月の傘に入れてもらうから!

 でした〜。残念で・し・た☆」

 

僕が何も言わずに見つめていると、にっこり笑ってパソコンの電源を切ってしまった。

 

「何するんですか!?」

「早くしないと嵐になっちゃうでしょ〜?ほらほら、お部屋にパソコンあるんだから、

 そっちでおやりんさい。」

 

僕の不機嫌な目線にさえも怯まず、彼女はいそいそと帰り支度をする。

散らかした雑誌を片付ける彼女の手が不意に止まり、バッとこちらを見る。

 

 

「…今気づいた!観月、アンタの傘ってすんごいのじゃないよね?」

「すんごいのって、どう言う基準でですか?」

「お花がどじゃ〜のびかびか〜のヤツ。」

「……なんて幼稚な表現なんでしょうか、貴女の説明は…。」

 

僕が小さく頭を振ると、「良いじゃない!分かりやすくて!」と反論してくる。

 

「ご期待に添えなくて残念ですが。紺の傘ですよ。」

「いや、ぜ〜んぜん期待してないんだけど…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、彼女は本気で僕の傘に入れてもらう予定だったらしい。

部室の軒先で傘を開くと、は僕に寄り添ってくる。

 

ふわりと香るシャンプーの匂いがやけに気になる。

 

 

「雨って嫌いでしょ、観月。」

「どうしてですか?」

「テニス出来ないし〜、観月のくせっ毛が言う事聞かないでしょ。」

 

くいくいと僕の髪を引っ張る手に小さく抵抗する。

ふっと見た彼女が、思いきり身体を寄せる。

 

「なっ、何ですか、いきなり。」

 

突然の事に思わずどもる。

彼女は大して気に止めた様子はなく、傘を持った手とは反対の手をぐいと引っ張る。

 

 

「あー、やっぱり濡れちゃってるんじゃん!」

「仕方ないでしょう。二人で入っているんですから。」

「二人で入っててもくっついてれば平気だってば。ほら、こーやって♪」

 

 

が僕の腕に自分の腕を絡めてくる。

自分らしくもなく、動揺している。

 

 

 

 

 

 

「暖かいね〜、こうしてると。」

「…。」

「なんですか?観月クン。」

「真似しないで良いんです。

 どうして僕と腕なんて組もうと思うんです?」

 

訊かれると、は少しだけ思案した後、こう口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

「観月をドキドキさせたいから。」

 

 

 

 

 

 

 

いつも通りの茶化した感じを装う違和感。

それに気付いた僕はつい口元が綻んでしまう。

 

とんだデータの見間違いをしていたようですね、僕は…。

 

「では、。これはどうですか?」

 

 

僕は彼女の細い腰を抱き、ゆっくりと唇を重ねる。

は小さく身じろいだが、徐々に身体の力が抜けていったようだ。

 

 

僕の制服にすがり付いてきたところで、僕は唇を離す。

 

 

 

「…どうです?ドキドキしましたか?」

 

耳元に囁くと、彼女は一気に耳までを赤くさせて小さく頷く。

 

「では、帰りましょうか。」

「…み、観月……。」

 

今まで積極的だった彼女が、急にしおらしくなっている。

そんな様子を見て僕は思わず笑みが零れてしまう。

 

「んふ…僕の方が、一枚上手だったようですね?」

「…二枚も三枚もだよ。………バーカ。」

 

 

 

 

雨は、すぐに小ぶりになった。

 

小さな虹が、雫の上に架かっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空にかかる、綺麗な虹を映して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

う、腕が落ちまくってるのを痛感した…。(泣)何なんでしょうかこの駄文は……。

最近ヒロインが固定化してきてるのかな…。観月のヒロインいっつもこんなな気がする。

それにしてもキリリクなのにこんな駄作で良いのでしょうか。(良くないダロ)

リクしてくださった海氷様。こんな観月で宜しければ煮るなり焼くなり好きにしてやって

下さいませ。…最近テニの子達は「可愛い」だからな…老けたかな、私。

 2004・9・26 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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