寂しい、と思うことはある。

 

お互い忙しい。逢える日は少ない。それは十分分かっている。

 

 

 

 

 

そんな全てを理性に押し込めていたから、

 

その時の君が輝いて見えたのかもしれない。

 

 

 

 

「周助〜。雨降ってきたわよ?」

「ホントに?」

 

姉さんに言われて、僕は慌てて外を見る。

 

確かに、ぱらぱらと雨が降り始めている。

雲の様子を見ると、これからもっと酷くなりそうだ。

 

「姉さん、ちょっと手伝って。」

「いいわよ。」

 

僕は外に出しておいたサボテンを部屋の中へ戻す。

 

「あら、あそこにいるの、ちゃんじゃないの?」

「えっ?」

 

 

窓の下に咲く、青色の傘。

 

それは、お気に入りの傘だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くにいたくて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!?何してるのこんな雨の中!」

 

慌てて玄関から出ていくと、彼女はゆっくりと振りかえる。

 

 

 

僕の彼女である。

 

「捨て猫…見つけて。で、周助の家が近かったからとりあえず。」

 

彼女の細い腕に、小さい猫が抱かれていた。

僕はその猫を受け取って、

 

「ほら、も上がって。寒いから。」

 

 

そっと彼女の背中を押すと、それが酷く冷えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

濡れそぼった猫をタオルで乾かし、温めのミルクを与える。

ひと心地ついて安心したのか、ニャア、と小さく鳴いた。

 

「にしても、何で制服なの?」

 

はタオルで制服についた水滴を叩くようにしてふき取っていた。

日曜日に制服を着ているなんて、運動部ではない彼女には珍しい事だった。

 

「ちょっと先生に呼ばれて。」

「まさか、何か悪いことでもしたの?」

「違うっつの。生徒会引き渡しの雑用。」

「あぁ。なるほど。」

 

 

 

 

   …じゃあ、手塚もいたの?

 

他の男子もいたの?

 

       …僕以外の、男子と一緒に。

               仕事とはいえ、一緒にいたんだね。

 

 

 

 

心の中に、醜い感情が影を作るのが分かる。

信頼していないわけじゃないけど、やっぱり嫉妬というものはしてしまう。

 

今日は、僕の誕生日だから。

 

余計に卑屈になっているのかもしれない。

 

 

 

子猫が後ろで暢気に鳴いているのさえ、僕の心からはどこか遠いこと。

 

 

 

 

 

「でも、私ってば優秀だからすぐ仕事終わったんだよ。」

「そっか。」

 

僕がにっこり笑って答えると、それとは対称的には不満そうな顔をした

 

「…不服な事があるなら言いなさいよ。」

「え?」

「笑って誤魔化そうとしても、私は騙されませんからね!」

 

ずいっ、と迫り来るに、僕は少し後ずさる。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてなんだろう?

いつもはこうだ。

 

 

 

 

僕がどんなに上手く笑っても、心の奥を見透かしてくる。

 

 

 

 

「誕生日なのに逢えなかったから?怒ってるの?

 せっかく、ホントの誕生日なのに、デートも出来なかったから?」

「ちょ、…。」

 

感情が高ぶると涙腺がゆるむ

 

僕の上にのしかかって、ついにはぽろぽろ泣き始めた。

 

「ま、待って。分かったから、落ち着いて…。」

 

どうしたらいいのか分からなくて慌てる僕よりも遥かにパニックを起こしているは、

泣きながらも間髪なく言葉をぶつけてきた。

 

 

「だからっ、私は、ずっと、周助のコト考えて、急いで仕事終わらせて、でも、

 ずっと忙しくて…プレゼントも買う余裕なくて、それでも、周助に逢いたくてっ…。」

「わかったから、…ストップ。」

 

僕はの言葉をキスで吸い取る。

あまりに突然のことで何が起きたのか分からないは呆然とする。

 

ゆっくりと抱きしめて、まるで小さな子供をあやすようにゆっくり話す。

 

「…の言いたい事、分かったから。

 僕は、怒ってるわけじゃないんだ。ただ、自分は随分と心が狭い人間だなぁって思って。

 それに、はこうして来てくれたじゃない。」

 

ね?と視線を合わせると、少し顔を赤らめて伏目になる。

 

「嬉しかったよ…思った以上に、が僕を想ってくれてたから。」

 

 

寂しい。

 

逢いたい。

 

抱きしめたい。

 

 

 

 

そんな全てを理性に押し込めていたから、

君が輝いて見えた。

 

正直に、全ての気持ちを吐露してくれる君が、輝いて見えたんだ。

 

 

「プレゼント、なんて…どうでもいい。さえいてくれれば。」

 

 

雨の音が響いてる。

 

 

しまい忘れたサボテンが、沈んだ空を見上げる。

 

 

カリカリと窓を爪で引っかいて鳴く子猫。

 

 

 

それら全ては、意識からは遠い。

 

 

 

 

君の鼓動や、呼吸だけ。

近くて。

 

 

 

それが、たまらなく幸せで、暖かくて。

 

正直な気持ちを、言葉に出来たのに、妙にくすぐったくて。

 

 

 

 

 

 

今、君と在る事が、最高のプレゼント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

やっちゃったー!!だ、大駄作。この出来は酷いですね…ちょっとどころの話じゃない。

いくらさぁ?思い付きだとはいえここまで酷いって言うのも…。お前何作ドリ書いて

るんだっていいたくなりますね(凹)ゴメン不二!今日は君のアルバムをオールリピート

で延々聞きまくるから許せ!BREATHも買う(かも)だから!そしてなにより。

不二ファンの方、スイマセン…。拾った子猫はヒロインが飼うそうですよ?(適当…)

何はともあれ。HAPPY BIRTHDAY☆不二 周助!

 2004・2・29 月堂 亜泉 捧

 

 

 

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