遠い空。

 

空は繋がっているというけれど。

どこの空も、いつの空も…本当に変わらないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Under The Sky

    序・霞がかる透明の色

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「108の星が…再び集まろうとしています…。」

「108の…星?」

「そうです。天魁星の元に、必ずや。」

 

そう、レックナートさんは呟く。

 

目の前にある水晶球が淡く光を放ち、ぼんやりと人の輪郭を為していく。

誰かははっきりと見えないけれど、赤い衣が見て取れた。

静かにその様子を見つめてから、レックナートさんは私にゆっくり向き直る。

 

「貴女には宿星がつくことはないでしょう。

 けれど…必ず天魁星、天寿星の定めの中に入る星…。」

「…それは、避けられないのですか?」

「宿命…運命…理由…なんという言葉を借りれば、貴女は納得しますか?」

「…それが私に課せられた、『生きる理由』なのですか。」

「そうです。そのために、貴女は生きていかなければならないのです。

 この先、どんなに辛い事が待ち構えていようとも。」

 

そう言われたのは、もう何年前のことだろう。

 

 

 

 

魔術師の塔で…?

 

 

 

 

違う。もはや、その場所がどこだったかさえ、薄れてよく分からない。

 

 

遠く、懐かしく響く…私の故郷かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日立つのかい、…?もう少しゆっくりしていてもいいんだよ」

 

荷物を皮袋につめながら、私は親友を振り返る。

寂しさを見せる彼女を元気付けるように、私は笑顔を向ける。

 

「ありがとう、クレオ。

 でも…これ以上いると、居心地の良さに浸かってしまいそうだから。」

 

それでも、長く傍に居た彼女は、私の笑顔を見てますます表情を切なげに曇らせる。

 

「テッド君や、坊っちゃんも旅立つ道を選んだ。

 それは紋章の功罪を抑える事にもなるとは分かる。それでも…。」

「クレオ。貴女の言いたい事はよく分かるの。貴女は優しいから…。

 その気持ちだけいただいておくわ」

 

 

トラン共和国…かつて赤月帝国と呼ばれたこの地。

 

ハルモニア神聖国の内乱に乗じ独立を果たしたこの国は、

建国当時のクラナッハ・ルーグナー以来、大きな内乱が起こったのは、

バルバロッサとゲイル、甥と叔父の継承問題だった。

 

内乱はバルバロッサの勝利に終わり、バルバロッサは英雄王として称えられ、

更にはその政治手腕に民は尊敬の念を寄せていたが、バルバロッサが最愛の妻を失い、

ウィンディという前妻に良く似た妻を娶ってから、政治が悪化。

 

やがて、解放軍と呼ばれる反帝国組織が作られる。

 

それが、私やクレオも属していた、今のトラン共和国を作る軍になった。

クレオたちと共に、トランの平定に戦場を駆け巡った日々…。

その中で、私の紋章も力を発揮した。

 

つまりは、認められると…クレオはきっとそう言いたいのだろう。

 

「…次の目的地は、デュナンなの。そう遠くないし…いつかまた来るよ。」

…。」

 

 

 

 

 

あれからは、そうだ。3年の月日が経った。

 

 

 

 

 

 

 

デュナンの土地は、昔から戦乱の絶えない土地であった。

 

土地全体を囲むように山が聳え、盆地のような狭い土地に、

ハルモニア神聖国の内乱鎮圧の勲功により現皇王家の土地となったハイランド皇国。

デュナン君主国内乱の際都市が点在し、その後同盟を組んだデュナン都市同盟。

どちらも内乱により生まれたものが、領土争いに血で血を洗うような土地となっている。

 

 

「私を、今だ宿星からは逃れさせてくれないのね…。」

 

 

そう呟いたのは、彼らが…始まりの紋章を宿したときだった。

 

 

 

柔らかな慈愛を帯びた、生い立ちの複雑さを垣間見せない優しい彼と。

 

深く哀を感じさせる、どこか張り詰めた殻を隠し持つ、優しい彼。

 

 

 

さん。」

「嫌ね、さん付けなんてしないで欲しいわ。そんなに年上に見られちゃう背格好かしら」

「そ、そうじゃなくて…。」

「ふふっ、敬語も。私は貴方達とお友達になりたいの。ダメ?」

「…いいよ。」

 

そう言って無邪気に微笑む彼らの姿が、その時…。

 

私にはとても眩しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…愛さなければ、良かったのに…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呟いたのは…       いつ  だっただろう

  

 

 

 

 

 

 

ふと、空を見上げる。

 

青い空。

 

本当に青いのか…。

 

 

 

幾度も見ると、くらくらとして。

 

 

 

 

 

 

やがて、空に押し潰されそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ。もし神様が居るのなら。

 

私はどのように映っていますか?

 

 

 

 

愚かに空の下を逃げ惑う、小さなモノでしょうか。

 

 

 

 

…答えを、空の色に、求めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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後足掻き

新シリーズ(?)スタートでございます。こちらはオムニバス形式と

いったところでしょうか??(笑)主人公設定は固定のまま、

幻想水滸伝シリーズの(書けそうな人々の)ドリムを書いていきたいと

思ってます。まぁまずはジョウイでしょう(汗)ちなみに、

キャラクターは2のみにとどまる様子はないようです。はい。

さあ、ドコまで膨らますかな…(爆)

 

 2005・11・11 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

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