こんなに陳腐な出逢いというものがあるんでしょうかね?

でも僕は、身をもってそれを実感したんですよ。

貴女に出逢ったあの日。

出逢った、と言うのも変でしょうか?

僕と貴女が「顔を合わせた」のはこの間の大会が初めてですからね。

 

 

 

 

運命?のイタズラ。

〜目覚めてしまった恋心〜

 

 

 

 

 

「一体何やってるんです、今はまだ休憩時間じゃないんですよ!!」

 

部員に喝を入れてから、再び僕はパソコンのディスプレイに目を向ける。

我が聖ルドルフテニス部における日々の練習は、全てを僕が管轄していた。

もちろん、バカでも部長ですから、赤澤と相談の上決定しますが。

自分で言うのもなんですが、僕のメニューは厳しい部類です。

吐いたり、倒れたりする部員も少なくありませんでしたね、当初は。

そのうち、ふるいにかけられる様に残ったのが、今のレギュラー。

 

「…観月…お前…も……この辛さを…分け合え。」

「…バカ澤の分際で、よく言いますね。(黒いオーラ)」

「俺は部長だぞっ。」

 

…僕に逆らうんですね。

だから貴方は後輩にもバカ澤呼ばわりされるんですよ。

バカはいいですね。お気楽で。

 

「それは、長くやってきたせいでしょう?年功序列の世の中はイヤですね。もし実力世界

 ならば、僕が部長になるでしょうにね…んふっ。」

 

(((観月が部長になったらそれこそ命が幾つあっても足りない!!!)))

 

「まあ、仕方ありませんね。譲歩して休憩にしましょう。」

 

気の抜けた様にその場へ座り込む者、一目散に水道に駆け寄る者と様々。

 

「あまり身体を冷やさない様に。筋肉が収縮して動かなくなりますからね。」

 

僕はそう言っておいてから、またパソコンに目を移す。

 

最近僕は雑多な知識を吸収するため、テニス愛好者の開くサイトへ飛んでいる。

そこでの掲示板の書きこみやチャットは、意外なヒントとなる。

実際、メニューに取り入れた事も少なくありませんし。

と、今まで誰もいなかったチャットに、誰かが参加してきた。

 

<初めまして、ハジメさん。私はと言います。ハジメさんはテニス経験者ですか?

<ええ、そうです。

<それならばちょっとお聞きしたいんですけど。

<なんでしょうか。

<才能と努力、どちらが大切なんでしょう。

 

僕は返答に困った。

 

僕は、データを取る身として、「努力」を主としている。

けれど、結果を求める身として、「才能」も隅にはおけない。

 

僕は仕方なしに、こう打った。

 

<どちらも大切でしょうが、どちらかに重点を置くのか、それによってその人の

 プレイスタイル、というものが決まるのではないでしょうか。

<ありがとうございます。とても役に立ちました。今後の参考にさせて頂きます。

 それでは、またの機会に。

 

そうして、「」さんは去っていった。

僕は、この「」さんに強く興味を持ったんです。

そこで、少々さんには悪いですが、データベースを色々と検索していったところ、

 

「越前 …ですって?」

 

まさかとは思いつつも、読み進めていくと、間違いはなかった。

 

「青春学園3年、越前 …弟…越前 リョーマ。」

 

あの質問は、弟である越前君のために聞いたんでしょうね…。

そう思うと、何だか胸が焼かれるような想いがしたのを、はっきり覚えている。

 

 

 

 

「んふっ…。」

 

思い出し笑い、と言うのも品がないですが。

でも、あまりにも純粋で、人を疑う事を知らないさん。

逢ってから、その勘は確かなものだと確信しましたね。

メールやチャットで出会って付き合い出す、といった事はありえないとたかをくっていた

僕ですが…。さんにはしてやられましたよ。

 

「おい、観月。」

「なんですか?バカ澤。」

「……青学とのシナリオは出来あがったのか?」

「ええ、ばっちりですよ。全て。」

 

そう、全て万全ですよ。

 

青学に勝つためのシナリオも。

越前君、君から君のお姉さんを勝ち取るためのシナリオも。

 

 

「僕のシナリオに、狂いはありません…完璧なんですよ。」

 

簡単ですよ。恋のシナリオなんてね。

 

越前君、貴方は所詮さんの弟。

どんなに止めても、さんは貴方から離れていく。

 

そして、僕のところへ、必ず来ますよ。    

 

 

…必ず、そうしてみせます。

 

 

 

 

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後足掻き

はい、リョーマVS観月第三弾でございます。これで、観月がどのようにしてさん

に目をつけた(苦笑)のか解明されましたね〜。チャットなんてやらないでしょう。観月

は。むしろ最初からデータベースを検索してしまうでしょうし。でも…大目に見て下さい。

しかし、連載にしようとは思っていましたが、ホントにちゃんと続くとは…(無責任。)

第4弾は第2弾にジョイントされるような感じですね。あのデート(?)の続きに

なると思いますね。このシリーズ、なんかだんだん楽しくなってきた今日この頃です。

それでは、続きをお楽しみに☆(しないほうがいいかも…?)

 2002・12・23 月堂 亜泉 捧

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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