YOU ARE MY HUSBAND??

 

 

 

『わたし、ゆみこちゃんとゆうたみたいなお姉ちゃんと弟が欲しいー。』

『そうなの?二人とも姉弟に出来るほうほうがあるよ。』

『ホントに?』

『うん。ぼくとけっこんすれば、二人ともお姉ちゃんと弟になるよ。』

『けっこん?そうしたら、しゅうすけくんは?』

『だんなさんだよ。うーん…お父さんとお母さんこうほみたいなものだよ。』

『???…よくわかんないけど。うん、しゅうすけくんのおよめさんになるよ!』

『ほんと?うん。まってるね。』

 

 

 

今考えりゃ、かんっぜんにあいつの策に

嵌められてたんだ

と思う…。

ちくしょう、なんでこの世にドラ●もんやキテ●ツがいないのよ…。

もしいてくれればあの時期にタイムスリップして、昔の私に諭してたでしょうに…。

 

魔王の策にはまるな、とね…!!

 

―、今日帰りにどこか寄ってかない??」

「あ、ごめん、先約があるんだ。」

「先約?」

 

首を傾げる友人。私はカバンを持って、

 

「…行くよ。」

「何も、そんなあからさまに嫌がらなくても…酷いなぁ。」

 

にっこりと私を迎えるのは、不二 周助。

私の腐れ縁的幼馴染。そして…他の人には分からないけど、相当な猫被り

ここまで性格が悪いのには敬服ものよ…。

 

「う・る・さ・い。私と帰りたかったら黙ってついてきなさい。」

「ふふ…。」

「笑うな!!」

「笑うのもダメなの?」

「心臓と肺以外は動かすな!」

「胃は?」

「昼は消化し終わったろもう既に!!」

 

だーもう…無駄に疲れる……。

こんな苦労をしつつも私がこいつと一緒に帰る理由。それはただ一つ。

 

 

 

「由美子ちゃーんっ!!」

ちゃん、いらっしゃいー☆うふふー、相変わらず元気そうね。」

「もちろん!由美子ちゃんに会えると思えば疲れなんて吹っ飛んじゃうもん☆」

「まー、嬉しいこと言ってくれるじゃない♪さあさ、あがって。」

 

この綺麗な女の人は、不二 由美子。周助の実の姉で、占い師をしている。

お菓子作りが得意で、優しくて明るい、私の憧れ&大好きな、理想のお姉さん。

なのに、周助のお姉さんなんて…。

世の中は不条理よ。

 

「あ、だ。」

「裕太―。久しぶりだねっ☆また背伸びた??」

「ああ、そうみたいだな。は?」

ふ…女はもうあと横に伸びるしか残されてないのよ…。」

「あはははっ!!横かよ!」

「ってか、そこまで笑うことなくない!?」

 

この男の子は不二 裕太。不二家の次男坊…末っ子。周助をテニスのコトでライバル視

してて、聖ルドルフ学院中に籍を置いて、寮に住んでいる。

裕太も、私の理想の弟。気がね無く色々な事話し合える弟が欲しいんだ。

 

「ねえ、ちゃん?ちょっと手伝ってくれない?」

 

ひょっこりとキッチンのほうから顔を出す由美子ちゃん。

 

「うん、いいよー。」

 

いそいそとキッチンに向かうと、そこにはフルーツの色の洪水に、ホイップクリームの

甘やかな香りの満ちる、メルヘンな雰囲気のある空間だった。

 

「んー、なんかここにいるだけで幸せ〜…。」

ちゃんは甘いもの大好きだものね。昔から。」

「うんっ。特に、由美子ちゃんの作るお菓子が大好きだよ。」

「うふふ、ホントに可愛いコト言うんだから。早く私の、本当の妹にならないかなーって

 思ってるのよ。」

 

「由美子ちゃん?」

「だって、周助と結婚してくれるんでしょう?そうしたら、今の『妹みたいな存在』

 から、本当の妹になってくれるんですもの。ね?」

 

周助と結婚…。

そうだ、昔そんな約束をした。でも、

 

「それは昔の約束だってば。」

 

…その言葉は出てこなかった。ただ曖昧に微笑むだけだった。

何故かは自分でも分からない。

 

私は…周助の…『お嫁さん』に…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はミルフィーユなんだね。」

「そうなの。ラズベリーソースはちゃんが作ってくれたのよー。」

 

ミルフィーユを切り分けながら、由美子ちゃんはにこにこ笑って言う。

そんな『作った』なんて大層なものじゃなく、火の番をしてたようなものなのに…。

 

「うん、おいしい。ソースが甘酸っぱいのもちょうどいいよ。」

 

にっこり笑って、そんな事を言う。由美子ちゃんもにっこり笑い返す。

由美子ちゃん…実の弟にだまされてるよ??

 

私はそんなやり取りを横目に、ケーキを口にする。

 

 

…美味しい〜…なんかもう、幸せぇ〜♪

 

 

こんなに美味しいケーキを、どうして由美子ちゃんはいとも簡単に作るんだろ??

幸せ気分でケーキを食べて、ふと…

 

「!」

 

じっと、周助が私を見つめていたのに気づいて…ばっちり目が合ってしまった!!

ついでに、何でか慌てて顔をそらした。

 

 

心拍数が、一気に上がる。

 

 

 

 

 

何よ、そんな真剣な目で…見ないで。

 

 

 

 

 

 

 

ちゃん?どうかしたの?」

「え?」

「何だか、食べてないみたいだから。」

「そ、そんな事無いよ?すごい美味しいもんっ。」

 

 

喉に詰まりそうになったケーキを紅茶で流し込んで、

 

 

私は、どうしよう、と心の中でため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

NEXT DAY…

 

 

 

 

 

========================================

後足掻き

不二様。久々に挑戦でございますが…ごらんの通り前後編です。これは、私が由美子

ちゃんと裕太が姉弟に欲しい…と思ったところから出来あがったドリです。そして

またも不二を罵る系の主人公です。というか、自分のまんま…。あ、甘いものはダメ

ですけどね。次回は…ちょっと甘め突入の予感☆

 2003・10・14 月堂 亜泉 捧

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送